久保王将が防衛!大の虎党 星野流分析力で4期目たぐり寄せた
2018年03月16日 05:30
芸能
貫禄漂う決着局といえるだろう。豊島の封じ手(49手目)[先]7七銀右は意外に見えたものの、わずか4分の少考で[後]4六歩と返す。昼食休憩直前の67手目[先]3五歩で豊島が開戦の意思を示したが、丁寧な対応で以降は徐々に差を広げていく。82手目の[後]6九とは竜を作られる代償として金得を実現。この獲物を受けに使い、盤石の態勢を築いていった。
6局を通じて主張したのは、やはり振り飛車党の意地だ。披露した戦型は四間飛車、三間飛車、角交換型振り飛車、そして今局の中飛車…。バラエティーに富んだ布陣は将棋ファンの感動を呼ぶ。「いろいろな戦型を指せたし、負けた対局もいい将棋を指せたかな、と」。プロ棋士としては極めて少数派に属するものの「振り飛車の棋士がいなくなるとつまらない。できるところまで頑張りたい」と改めて自らのポリシー完遂を強調した。
阪神の大ファンとしても知られる久保にとって開幕局直前には衝撃的な一報があった。優勝経験を持つ元監督、星野仙一氏の訃報だ。「星野さんは負け試合だけでなく、勝ったゲームも冷静に分析すると聞いた。それに影響を受け、自分も勝ちの対局を振り返るようになったんです」。遠い目をしながら愛するチームの名将に思いをはせる。
終わってみれば4勝2敗。健在ぶりを誇示したさばきのアーティストは「また来期も王将戦を指せるのが凄くうれしい」とはにかんだ。そしてまた安堵(あんど)の息をついた。