型破りでチャーミングだった可朝さん…こんな芸人もう出てこない
2018年04月18日 10:30
芸能
ギャンブルに、女性が大好き。15年ほど前に、故喜味こいしさんから聞いたのだが、可朝さんは仕事先に向かうバスの中で、前を走る車のナンバープレートの数字でも金を賭けた。新聞をちぎって、記事にある数字の大小でも一喜一憂。「暴力団に麻雀で勝って何が悪い。わしは資金源を断ってる訳や。警察に表彰されなアカンがな」。こんな無茶苦茶なことばかり言っていたという。
兵庫県西宮市の自宅が火事になった時も、燃えているのをそっちのけで隣の家の庭に必死で自分の浮気の証拠を放り込んだ。ある商店のご婦人と浮気をしている時には、相手のだんなの出張中に、夫人の自宅に出張サービス。店のシャッターを開けて中に入るのに近隣住民の目もあるので一苦労。近くの踏切を電車が通る度に音を合わせて「ガラガラ〜」。夜とあって電車の本数が少ない中、粘りに粘って終電までには何とか攻略。そんな逸話がゴロゴロある。
ヒット曲「嘆きのボイン」や「出てきた男」などを弾き語る漫談家の顔に、桂米朝一門らしく落語の実力は本物。パンパンに客の入った劇場で「ほんまに、ほんまに、ほんまでっせ〜」というフレーズを繰り返すだけで爆笑を巻き起こす。野球賭博に、晩年はストーカー事件も起こしたが、それをすべてひっくるめて“芸人可朝”だった。
「誰に対しても分け隔てなかった。イタズラ好きでしたけど、ええ人でしたわ」(関係者)。昭和は遠くなりにけり。こんな型破りな芸人はもう出てこない。時代もあるのだろうが、なんだか寂しい。合掌。