小泉孝太郎 衝撃と重圧も「下町ロケット」悪役は転機 苦悶する「ブラックペアン」で再び新境地
2018年04月22日 15:30
芸能
小泉が演じるのは、ヒラ医局員だが手術成功率100%を誇る孤高の天才外科医・渡海征司郎(二宮)と敵対する新任エリート講師・高階権太役。東の名門・帝華大学病院出身で、マサチューセッツ医科大学に留学していたという華麗な経歴の持ち主。渡海のいる東城大学医学部付属病院総合外科学教室(通称・佐伯外科)に招かれると、手術用最新医療器具・スナイプを「外科医の腕を全く必要としない」と豪語して持ち込み、医療業界も巻き込む騒動の火ぶたを切る。高階は医療の歴史を変える存在となるのか。
困難な心臓手術を誰もが安全に行えることを目指す「スナイプ導入」は、1人でも多くの患者を救いたいという高階の純粋な思いから。一方、東城大学の佐伯清剛教授(内野聖陽)と帝華大学の西崎啓介教授(市川猿之助)が日本外科学会理事長選でトップの座を争っており、高階は西崎教授がライバルの大学に送り込んだ“刺客”。権力闘争で暗躍するダークさも持っている。
「二面性どころか、何面性も持っていていいのかなと。ただ単に真っすぐなエリート外科医じゃなく、もっと振り幅を大きくしないと乗り切れない、1話すら演じ切れないと思ったので、ダークな面を強く押し出そうと演技プランを変えました」
最終回の視聴率22・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と大ヒットした「下町ロケット」に、後半パート「ガウディ計画編」から登場。佃製作所社長・佃航平(阿部寛)の前に立ちはだかるサヤマ製作所社長・椎名直之を熱演した。自身初のヒール役は評判となり、ドラマを名実ともに成功に導いた立役者の1人になった。
好青年役が多かったため、悪役のオファーは「予期せぬもので、本当に衝撃でした。それに、途中参加はプレッシャーでしかなかったですね。サッカーや野球の日本代表チームに途中から招集されて『あなた、絶対に点を決めてくださいよ』と言われているようなもの。あの気持ちはよく覚えています」と振り返り「クリーンなタイプの役とは違う“もう1つの人生”を思いかけず頂いて、もの凄く幸せ。感謝しかないですね。大きな転機だったと思います」。30代半ばを過ぎ、新しい自分と出会えた。
「下町ロケット」でタッグを組んだ福澤監督は一連のシーンを繰り返し、異なる角度から何度も通して撮るのが特徴。ある種、舞台中継のような生の臨場感をカメラに収める。そして、テイクを重ねるうちに芝居が極まる。演者の顔にカメラを近づける、福澤監督十八番の「顔芸」も、ここから生まれる。 小泉も「途中セリフがつまずいてもカットをかけず、一連のシーンは最初から最後まで通しますし、『カメラのレンズを人だと思って』と顔のアップを撮りますし。『何だ、これは』と」。“初体験”だらけの撮影に驚いたが「集中力と持続力が鍛えられました」
さらに福澤監督が求めたのは、普段しゃべっている時の1・5倍の速さのセリフ回し。「芝居は間が大事なので、もちろん福澤監督も間を取りたい時は『ここはゆっくりやってください』とおっしゃいますが、それ以外の時は『1・5倍のスピードで話してください』と。その方が、役者が熱を帯びてきて、視聴者の皆さんも芝居にガーッと引き込まれると思うんですね。だから福澤監督の作品は、見入ってしまってアッという間に終わるような感覚があると思うんです。ただ、役者は大変です。ただ単に速く言えばいいわけじゃなく、そこに気持ちが入っていないといけない。『下町ロケット』をやり終えて、確実に自分のスキルが成長したなという実感はありました」。俳優として大きな財産になった。今作も福澤監督と作り上げる。
新境地を開いた「下町ロケット」の悪役から、今度は「ブラックペアン」の二面性のある役。第1話から、せめぎ合う渡海(二宮)と高階(小泉)だが、高階の苦しむ姿も印象的。「これほどあがいて、もがいて、苦しんで。僕が今までに演じたことがない役。そこは高階の成長物語でもあると思うんです。苦しい分、演じ甲斐はあるので、『ブラックペアン』が終わった後には『下町ロケット』が終わった時のように、また何か大きく心に残る感情があるでしょうね」と、さらに自身の可能性が広がることを予感。“苦悶する小泉孝太郎”は新鮮。再び反響を呼ぶに違いない。