久保王将が就位式 レジェンド仲間入りに手応え、永世位へ意欲
2018年05月22日 05:30
芸能
![久保王将が就位式 レジェンド仲間入りに手応え、永世位へ意欲](/entertainment/news/2018/05/22/jpeg/20180521s000413F2488000p_view.jpg)
過去4人しかいない4期以上の獲得。4人はいずれも戦後6人しかいない永世名人だ。「レジェンドに近づけているというのは自信、励みになります」。勝った喜びと、それ以上の特典を実感する。「防衛した喜びもあるが来年も指せる、タイトル戦に出る権利を得たことが最大の価値です」。防衛の意味をそう表現し、通算100期目のタイトル獲得を目指して名人挑戦中の羽生の名を挙げる。
「だから羽生さんは強い。タイトル戦は自分を高めてくれる場所です」。強敵相手の公式戦を重ねることで、実力も蓄えた永世7冠の勝利の方程式にならう決意だ。
あいさつでは「一番応援してくれた人」という、亡き恩人への感謝も述べた。故郷・兵庫県加古川市の将棋協会前会長・柿本武男さんは、6歳から将棋を教えてくれただけでなく、後援会設立にも奔走。「心眼」と記した王将戦復位記念の扇子を届けた昨年10月22日、その3時間後に69歳で亡くなった。
「王将は守らないといけないよ」が生前の言葉で、7番勝負開幕を前に「ここまで強い思いで臨んだ対局はなかった」。第1局、持ち時間8時間の半分以上4時間22分を残した豊島に敗れた。「気負い過ぎている。獲ろう、獲ろうとし過ぎない」と反省し、第2局以降、立て直した。
年明けから5期目を目指す戦いが始まる。通算10期が条件の永世王将については「5期にしてほしいです」と苦笑いする一方、「ハードルは高いが精進したい」。折り返すことで初めて見えだすゴールへ、歩みを重ねていく。
◆久保 利明(くぼ・としあき)1975年(昭50)8月27日生まれ、兵庫県加古川市出身の42歳。淡路仁茂九段門下。93年四段に昇段し、09年の第34期棋王戦で初タイトル。翌年の第59期王将戦で当時の羽生善治王将に勝利し、自身初の2冠保持者に。タイトル獲得は王将4期、棋王3期の計7期。1メートル66。
▼スポーツニッポン新聞社河野俊史社長 豊島八段との7年ぶりの関西トップ棋士同士の対決が話題となりましたが、昨年12月のA級順位戦から4月までの公式戦19局のうち9局が豊島八段との対戦でした。王将位4期は歴代4位で今年43歳になられますが、脂の乗りきった棋士。5つ年上の羽生竜王らとともに、藤井七段ら若い棋士たちの大きな壁になって、ますます前進していただきたいと思います。
▼日本将棋連盟佐藤康光会長 第67期王将就位式が今年も大阪でとなりました。7期ぶりの対戦は掛川で始まり、調子の良さを継続していた豊島八段が3時間38分という早い時間での勝利で始まりました。しかし、第2局からは久保王将が、振り飛車を使い、攻守にわたって非常にさえた将棋で逆転。大変な日程の中で見事に4勝2敗で防衛されました。今後も円熟味を増した将棋を見せていただきたいと思います。
【第67期王将戦VTR】
▼第1局(1月7〜8日、静岡県掛川市・掛川城二の丸茶屋)戦型は相振り飛車。封じ手時点で豊島が勝ち筋を確信。88手で快勝。
▼第2局(1月27〜28日、佐賀県上峰町・太幸園)久保の四間飛車。豊島の4枚穴熊を端攻めから突破し104手でタイに。
▼第3局(2月3〜4日、栃木県大田原市・ホテル花月)2度目の相振り飛車。豊島が2日目3時間11分の大長考も、久保が角切りから97手で連勝。
▼第4局(2月19〜20日、兵庫県尼崎市・都ホテルニューアルカイック)3度目相振り飛車に。両者残り時間2分ずつ、130手の熱戦は久保が攻防の一着で制して3連勝。
▼第5局(3月6〜7日、島根県大田市・さんべ荘)久保の四間飛車。1日目は38手のスローペース。2日目、豊島が一石二鳥の歩から反撃。96手で2勝目。
▼第6局(3月14〜15日、長野県松本市・松本ホテル花月)久保の中飛車。序盤豊島に馬を作られたが、駒得を拡大。王頭戦を120手で制して防衛。