「末路本」がベストセラーになった著者の末路
2018年06月13日 10:20
芸能
同書は「宝くじで1億円当たった人」「事故物件を借りた人」など誰もが気になる人の末路を著者と専門家が解き明かしたもの。そこで、知りたくなるのが「末路本」がベストセラーになった著者の末路ではないだろうか。
実際、著者の鈴木信行さん(50)に出版してからこの1年の環境に変化があったか聞いてみると「あんまりないっちゃないですね」とあっさり。これまでどおり、経済誌「日経ビジネス」の副編集長として従事していた。
夢の印税生活が待っているかと思いきや「印税は1円ももらっていません」と意外な答え。会社の仕事の一環として行ったため、印税は出ない仕組みだとか。普通の契約であれば、少なく見積もっても2000万円になっていたというから、逃した“獲物”は何とも惜しいような気もする。
おカネにまつわる末路はまだある。実は、会社から社長賞として金一封を受け取った。鈴木さんは「自分のために使っちゃうとろくでもない末路になると思った」と、本に携わったチームのために開いたパーティーの開催費に全て使用。しかも「税金で4万円ぐらい引かれたので、金銭的には悲惨な末路になってます」と自虐気味に語った。
とはいえ、サラリーマンの哀愁が感じられるだけの結末ではないから面白い。特にドラマ化のオファーには仰天したといい「インタビュー集のようなものなので、私の本を原案にしてドラマ化してくださる人がいるなんて思わなかった」。鈴木さん自身もわかりやすい解説と軽妙な語り口が知られるようになり、ラジオやテレビの出演依頼が舞い込むようになった。「入社して初めての経験を積むことができている」。こう語る鈴木さんの表情からは、新たな挑戦に対するやりがいがひしひしと伝わってきた。
この秋には書籍、ドラマ化に続く“末路シリーズ”の三本目の矢も放たれる。コミック化だ。日経BP社が出版するビジネス関連の書籍からコミック化されるのは異例の展開。鈴木さんは収録される10テーマの末路について解説を書き下ろす予定で「普段、本を読まない人で漫画が好きな人にも手に取ってもらえたら」と期待を寄せている。
最後に結論。末路本の著者は、懐は潤っていなかったものの、人生経験は豊かになっていた。(安田 健二)