儚い、でも夢がある芸人単独ライブ、SNSでは絶対に発信しない生き様
2018年07月30日 11:00
芸能
単独をやる芸人とやらない芸人。アリとキリギリスではないが、この差は、そのうちボディーブローのように効いてくる。お笑いの筋肉は、ほったらかしにすると確実に落ちる。そのうちに消え去る芸人も多い。R―1王者の佐久間一行は「見に来た人にチケットの3倍くらい満足して帰ってもらわないと」と常々話しているという。そこに芸人としてのアイデンティティーがある。
もともと「面白くて、楽をして生きていきたい」というキリギリス・タイプが多い芸人にとって、単独はカロリーの高い作業だ。4カ月近くかけて、構成作家らと打ち合わせを繰り返し、新ネタや演出などを練り上げる。たった1、2回で消えるネタもあれば、2度と日の目をみないネタもある。時間をかけて仕込んで一瞬で消える花火のような儚(はかな)さがある。
なぜ、やるのか。「来てもらったお客さんに笑ってもらうのが、たまらなく気持ちいい。ライブですし、その時にしか生まれない笑い。やり終わるまでしんどいんですけどね。単独後の打ち上げが一番楽しいんですよ」。先日、現場で一緒になったバイク川崎バイク(BKB)は、そんな話をしていた。
2012年から単独をやり始め、年4回開催したこともあるというBKB。8月19日には大阪・YESTHEATERで、8月31日にはルミネtheよしもとで「バイク単独バイク」を行う。
「8本ネタを作ってそのうち2本も残らないこともありますね。でも、実はそんなことはあまり関係ない。誰もみたことのない新ネタをかけてウケたらやめられないっすよね」。儚いけど夢のある単独ライブ。そこには、SNSでは絶対に発信しない芸人としての生き様がある(記者コラム)