「半分、青い。」原田知世が新境地「新しい扉を開ける」和子役 ものまね反響 北川悦吏子氏アテ書きの妙
2018年08月21日 08:00
芸能
第7話(4月9日)は特撮ヒーロードラマ「マグマ大使」(1966〜67年)の敵役、宇宙の帝王「ゴア」をものまねし「私の名前はゴア、ゴア、ゴア…(エコー)」。第12話(4月14日)は武田鉄矢(69)の「金八先生」をものまねし「(両手を腰に当て)このバカチンが」。ともに鈴愛の母・晴(松雪泰子)との会話の途中だった。
原田は「和子さんは上品な人なんですが、きっとテレビを見るのも好きで、いろいろな人のものまねをしていたんじゃないかと思いました。ものまねを見せるとしたら、弥一さんか律に『ねぇ、ねぇ、ねぇ』と。それもすごく想像できました」とキャラクターを分析。「だから、ものまねはちゃんとやらないといけないと思っていましたが、いかに和子さんが楽しいことが好きな人かということを表現できたらいいのかなと。それにしても、金八先生のものまねはかなりハードルが高く、最初に台本を読んだ時から一番の悩みの種でした」と、ものまねに挑む心境を振り返った。
ものまねタレントの原口あきまさ(42)が指導。「原口さんのものまねが目の前で見られるだけでも感動だったのですが、しかも教えていただけるということで、とてもうれしかったです。普段されていないものまねも、その場で資料をご覧になって、すぐに形にされる。さすがと思いました」。原口からのアドバイス「とにかく、ものまねは恥ずかしいと思わないこと。それだけ」を胸に、時間さえあれば思い付いた時に練習。「のどの“ここっていう位置”があるんです。のどがその体勢にならないと、ものまねができなくて」と苦笑いした。
北川氏の脚本は2015年のCBC(中部日本放送)「三つの月」、16年のNHK「運命に、似た恋」に続き、3作目。和子の初登場シーン(第2話、4月3日)は出産を前にして海外ミステリー小説を読み、看護師 に「これね、おもしろいよ〜。死体がね、しゃべるの。どうしてかって言うと、その体の中にカセットテープが埋め込んであるの。怖いでしょ〜。ウフフ」と楽しげに語り掛けた。
「この短いシーンに、和子さん像がハッキリと描き出されていて驚きましたし、イメージが膨らみました」
そして、北川氏のアテ書き(演じる俳優を想定し、脚本を書くこと)に「こういったコメディータッチの役は今まで演じたことがなかったんですが、とても楽しみながら演じさせていただきました。私と和子さんは違うキャラクターですが、たぶん北川さんは『この人にこういう役を演じさせてみたい』と脚本を書かれているんじゃないかと思います。私にとっては、また新しい扉を開けるような役。今回また一つ、ハードルを越えたような気がしています」
制作統括の勝田夏子プロデューサーも「原田さんのかわいらしさに今までとは違う形でスポットが当たるようアテ書きをされるというのは、北川さんのご慧眼 。和子というキャラクターは、原田さんが演じるとどういうふうに動くかをイメージされ、原田さんにインスパイアされて生まれたんだと思います。アテ書きの妙ですよね。その人の過去作をなぞるんじゃなく、その人の本質や魅力を一番いい形で出してもらうにはどうすればいいか常に考えていると、北川さんはおっしゃっていました。原田さんに限らずですが、ご自分が書くからには、その人の今まで誰も引き出していない面を引き出したいとも思っていらっしゃるのではないでしょうか」と北川氏のアテ書きを証言。「北川さんは女優さんとしても人としても原田さんを知り尽くして書かれていて、原田さんもそれをちゃんと受け止めて演技で返されている。お二人の信頼関係が伝わりました」。まさに生まれるべくして生まれた原田の新境地だった。
第110話(8月7日)、和子は心臓の病気を患っていることが判明。森山良子(70)の名曲「この広い野原いっぱい」を和子がピアノで弾き語りし、弥一と一緒に歌う“夫婦愛”のシーンは感動を呼んだ。
弥一役の谷原とは「三つの月」に続く2回目の共演。「弥一さんがいたから、和子さんが成立したんだと思います。最初の頃のワンカットで『こういう感じで2人でいればいいんだ』と2人の世界観がつかめました。谷原さんは声と佇まいが、あまりにもダンディーで素敵。人としてもすごく素敵で、一緒にいるとホッとするんです。私は新しい現場に入ると、打ち解けるまで時間がかかるんですが、谷原さんがいるとホッとして、いつも安心していられました。谷原さんが弥一で、私も和子さんも本当によかったと思っています」と感謝した。
ドラマ序盤は20代の設定とあり、和子の声のトーンも高めにしたが、鈴愛と律がアラフォーになって岐阜に戻った第109話(8月6日)以降は「病気のこともあるので、あまり早く動けなかったり、ゆったり話したり。そういうことが色濃くなります。ただ、和子さんは視聴者の皆さんをクスッと笑わせたり、視聴者の皆さんが泣いた後に気持ちをフッと持ち上げてあげたり、このドラマを明るくする役割を担っているので、あまりシリアスになりすぎず、和子さんらしさを残しつつ、ゆったりした言動にしようと。1シーン1シーン、そのさじ加減を監督と相談しながら演じました」。和子の命のともしびを、原田がどのように演じるのか、目を凝らしたい。