西郷どん「薩長同盟」が骨太回になった舞台裏 演者の緊張感と熱意が昇華
2018年08月27日 08:00
芸能
藩の面目や武士の意地があり、互いに“頭を下げない”両者。密約の場には海江田武次(高橋光臣)ら薩摩藩士がなだれ込み「なぜ朝敵・長州を救わねばならんのか」と主張するが、吉之助は「ええかげんにせんか!」と一喝。その後は「長州人でも薩摩人でもなか。日本ちゅう、一つの国の民なんじゃ」と諭し、桂らに頭を下げた。桂は「我らの負けじゃな」と応じてシェイクハンド(握手)。薩長同盟が結ばれた。
鈴木は撮影当日、朝から現場に緊張感が漂っていたといい「薩長同盟は幕末の出来事の中でも大変大きなもので、西郷や龍馬の人生のハイライトになるような出来事だった。『西郷どん』は裏にある人間ドラマ、登場人物の感情を大切にしている作品なので、薩長同盟の場面も人々の感情が世の中を変えていくんだということをうまく伝えられたと思う。俳優としてとても勉強になった」と語った。
海江田ら薩摩藩士を説得する場面は相当に悩んだと明かす。当初はもっと強く、一方的に吉之助の考えを押し付けるような演技だった。だが、その後“怒号を放った後は包み込むような吉之助にするべきでは”と演出担当者と話し合い、演技にトライ。本番でOKが出た場面も撮影し直したという。
桂役の玉山鉄二(38)は「同盟締結までの流れを、どうやったら緊迫感のある物語にできるかと、綺麗になりすぎないように意識しながら作らせていただいた。糸がちぎれずに突っ張った感じが続いているような状態。とても重みのある回になったと思う」と振り返る。
長州の代表者として場に臨んだ桂。卑屈なキャラクターのようになったのは「長州側は桂小五郎と伊藤俊輔だけ。長州のつらさや怒りとか、藩がどういう立場にいるのかを桂で表現しないといけなかった」と説明。吉之助に対して「よろしゅう頼む!」と叫んで手を差し出す場面は「薩摩藩士がみんな頭を下げたので、自分も頭を下げたい気持ちもあった。でも頭を下げることはできない。頭を下げないでどう表現すればいいのかと考え、大声で叫び思いを伝えた」と意図を語った。現場の緊張感と制作陣の熱意が詰まった「薩長同盟」となった。