角川春樹氏がバラエティー初出演 NG出され続けた“因縁”の俳優「妄想の中で何回か殺しました」
2018年08月31日 20:15
芸能
撮影が終わった後、NGの理由を問いただしたが、春樹氏は「自分で考えろ。馬鹿もん」と言い残し、帰った。28年経っても、くすぶり続ける思いをぶつけようと、春樹氏に出演オファー。ダメ元だったが、まさかのバラエティー初登場となった。
2人は7月30日、角川春樹事務所で対面。榎木が「私はまだまだ生意気盛りで、30そこそこの若造でしたので、とても自分なりのプライド、誇りがありましたので、ホント自分の思うものをぶつけていったんですけど、もうすべて否定されましたね」と切り出すと、春樹氏は榎木にNGを出し続けた理由について「役者というのは途中で突然、変わる時があるんですよ。例えば、引き出しが一体コイツにいくつあるんだろう、と。少なくとも3つぐらいは用意していなきゃいけないんだよね。(榎木に)引き出しがいくつあったか知らないけど、演出家がOKを出す演技というのは、どれだけ本(脚本)を読み込んでいるか、と。そういう点で言うと、榎木は読み込んでなかったんだね。もう1つは自分が空っぽになった時、本当に素のものが出てくる。『無になる』ということは、入ってくる余地があるじゃない。謙信なら謙信が」と榎木を空っぽにして成長を促すためだったと真意を明かした。
撮影から約3カ月が経ち、榎木が変貌を遂げた瞬間があった。真っ白な状態で本番に臨んだ鉄砲の試射シーンで「オレが待っていたのはそれだ」と初めてOKが出た。
NGを出され続け、精神的に参っていた榎木は引退まで考えたが、その後、春樹氏が映画「天河伝説殺人事件」(91年)の主演、探偵・浅見光彦役に榎木を推薦。春樹氏は「浅見光彦というのは、金田一耕助とは違った形で、身近な探偵を撮りたかった。飄々とする人物を演じることができるんじゃないか」。自身の代表作となり、榎木は「ある種『天と地と』をやり仰せたことのご褒美だと私は思ったんですけども、また新たな次の人生までちゃんと敷いてくださった。人生で数少ない本当の意味の恩人の1人だと思っています。この思いは一生続きます」と春樹氏と固い握手を交わした。