天才棋士のうつ病との闘い 藤井七段の活躍知り「そんなことあるのかよ」
2018年09月11日 13:10
芸能
昨年9月、先崎九段はうつ病を発症し入院生活を余儀なくされ、公式戦を全休することになった。異変を感じたのは同6月、47歳の誕生日の翌日だったという。きっかけになったのは、2016年に起きた将棋ソフト不正使用疑惑だった。
「なんとか解決しようと火消しにまわった」将棋界をまとめる立場でもあった先崎九段は混乱の鎮静化に走り回る中、将棋漫画「3月のライオン」の映画化で監修も務め、まさに多忙を極める日々を送り、体調不良を自覚し始めたという。
対局に集中できずに惨敗が続き、頭の中には死のイメージが駆け巡っていた。懸念した主治医や家族が密かに入院の準備をする中、特に精神科医の兄が強く入院を勧めたという。
つらい入院生活が始まり「何かを集中してやることが全くできなくなり、アマチュア初段の人といい勝負。うつ病の影響とは考えておらず、将棋が弱くなっていくのが嫌だった」と当時を振り返る。
将棋から距離をおいた先崎九段は、藤井七段らの活躍による将棋ブームを知らなかった。1カ月の入院から退院した頃にブームを知るが、現実感がなく「そんなことあるのかよ」と思った。
藤井七段や同僚棋士たちの活躍を見た先崎九段。沸き上がる悔しさか、再び将棋へと向かわせる原動力になったという。
先崎九段は今年6月、惜しくも敗れるが将棋界への復帰を果たした。
7月、リハビリも兼ねて闘病生活をつづった手記「うつ病九段 プロ棋士が将棋を失くした一年間」を出版。最後に「(うつ病は)誰でもかかるし、非常に多いと思う。自分の身に起きたことをそのまま書いたので、ここまでストレートに書いた本は珍しいらしいですよ」と手記について話した。