南芳一・九段、藤井七段との激闘「勝ったと思った瞬間も…」
2018年11月16日 17:24
芸能
![南芳一・九段、藤井七段との激闘「勝ったと思った瞬間も…」](/entertainment/news/2018/11/16/jpeg/20181116s000413F2210000p_view.jpg)
話題の最年少棋士・藤井聡太七段(16)とは今年2月、藤井の五段昇段後初対局だった王将戦一次予選で対戦。敗れたものの、深夜に及ぶ230手の激闘を展開し、健在ぶりをアピールしたのが記憶に新しい。
この日、藤井も七段昇段が表彰対象だったが、高校の授業優先のために残念ながら欠席。あの一戦を一緒に振り返る機会は訪れなかったが、南は対局前は「苦戦すると思っていた」ことを明かした。
ただ、実戦では逆に、穴熊に構えた藤井を振り飛車戦法の一つ、三間飛車からの攻めで追い詰め、「“勝った”と思った瞬間もありました」。終盤で逆転を許して悔しい結果になったものの、それ以外の印象も強かったようで「最後まで諦めない姿勢が印象的でした。形勢が悪くなっても精度の高い手を指していた」。対局後に六段、七段とすぐに昇段した棋界のホープの底力を改めて評価した。
相撲界の番付と同じように、将棋界で棋士のランク付けとして重要視されるのが順位戦のクラス分け。藤井は下から2番目のC組1級(全10戦)に在籍。現在5勝0敗で、初参加だった昨年に続く2期連続昇級に向けて好調を維持している。
ただ、1つ上のB級2組に昇級できるのは現クラスに所属する39人中たった2人という狭き門。順位戦初参加から2期連続昇級というのはまさに至難の業だが、その数少ない体現者の1人が南だ。
その時の経験について、南は「最初から昇級を意識することはなかった。一局一局戦い、負けても気を落とさず、自分の力を出し切ることに徹した」と振り返る。順位戦は対戦相手や先手・後手が事前にすべて決まっていることもあり、「他の棋戦に比べ、事前に深く作戦を練ることができる」という特徴を生かすことの重要性を指摘した。
その上で、藤井の棋風について「勝ち負けより、一局一局の内容を重視しているように感じる」とコメント。2期連続昇級を果たした“先輩”として、何かアドバイスは?と問うと「それは特にないです。逆に、本当はどんなことを考えているのかが興味深い」と珍しく?表情を緩めて締めくくった。
◆順位戦 名人への挑戦権を目指して行われる棋士のリーグ戦。上からA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5クラスがある。各クラスに振り分けられた棋士同士で毎年6月ごろから翌年3月まで一定数を戦い、成績次第で翌年度の昇級・降級が決まる。最上位のA級に所属する棋士(現在10人)は、名実ともに棋界を代表する存在とされ、A級1位は名人とタイトルを賭けて7番勝負を行う。昇級は毎回1クラス上のみで、C級2組からA級まで昇級するのには最短で5年かかる。藤井が全組を1期で突破できれば、最速で2022年に19歳で名人への挑戦権を得られる。