桑田佳祐 ピンクのネクタイで異例の献歌 「直々にお手紙頂き」作曲
2018年11月17日 05:30
芸能
黒のスーツ、ピンクのネクタイ姿の桑田の歌声に合わせ、関係者や一般弔問客ら約1000人が手拍子を打った。
桑田が背にした祭壇は、さくらさんの故郷静岡のシンボル富士山を、本人が好きだったダリアやトルコキキョウなど3万本で再現。遺影は置かれず、生前描いた自画像が飾られた。まる子やたまちゃん、コジコジら作品に登場するキャラクターのボードもズラリ。人を楽しませるのが大好きだったさくらさんの人柄さながらに、会場はにぎやかな空気であふれた。
桑田が献歌した「100万年の幸せ!!」は、アニメ「ちびまる子ちゃん」で2012年から17年までエンディング曲として放送。作曲を手掛けており、その経緯を「7年前(さくらさんから)直々にお手紙を頂き、テーマソングを作ってくれとお願いされました」と明かした。
さくらさんは学生時代から桑田の大ファンだった。手紙には、曲の題名と歌詞も書き込んであったという。桑田は先にメロディーを作り、その後で歌詞を作るスタイルで多くの楽曲を制作してきた。「歌詞指定かよ。凄いなあ…と思いました」と、ぶっきらぼうな言葉で笑いを誘ったが、これは桑田なりの照れ隠し。歌詞に込められた、さくらさんの思いに心を動かされた。
♪たった100万年ほどの幸せをつかもう 輝くこの地球にOh、愛を刻み込もうよ――など、遠い未来まで平和や幸せを願う思い。家庭や学校など日常にある、ほのぼのした笑いや幸せをテーマとする、これまでのさくらさんの作品にないメッセージだった。
オファーの直前には東日本大震災が発生。津波と原発事故で、東北地方を中心に甚大な被害が出た。当時、新聞に連載していた4コマ漫画で、被災地を励ますメッセージを描いていたさくらさん。乳がんが発覚して程ない時期だったとされる。
桑田は「大変お忙しいところに勝手なお手紙申し訳ありません。ダメなら断ってくださいと、手紙には書いてありましたが、断れません!断るわけにはいかない」。得意のスタイルでの楽曲制作ではなかったが「お世話になりました。何も恩返しできていないんですけど、またいつかお会いしましょうね」と、さくらさんに感謝のメッセージを送った。
桑田が故人に献歌するのも異例で、関係者によると「極めてまれ。少なくともここ15年ほどでは記憶にない」という。原由子夫人(61)ら参列者の手拍子に合わせて歌い、明るくさくらさんを送り出した桑田。歌唱を終えると、さくらさんの自画像を見つめ一礼した。