潮目が変わりつつある秋 新しい視点から見せる恋愛4つのドラマ
2018年11月22日 06:41
芸能
好調の理由はキャスティングの新鮮さ。戸田演じる若年性アルツハイマー病を発症した主人公と、運命的に惹かれたムロツヨシ演じる小説家の恋愛劇だが、女性側からの積極的なアプローチによって盛り上がっていく展開は面白い。視聴者からは「ムロツヨシの2枚目役が思っていたよりしっくりきている」(32歳女性)、「ムロさんかっこいい」(27歳女性)など、これまでコメディ系の役が多かったムロの新境地が満足感を高めている。
「獣になれない私たち」は、本能のままに生きられない男女の物語で。登場人物たちのさまざまな人間模様を深く掘り下げながら、先の読めない“イライラ”が逆に受け入れられている。「展開が読めないので早く続きが見たい」(46歳女性)、「イライラしっぱなしだけどなぜか見てしまう」(44歳女性)など、ネガティブな感想が視聴意欲をより高めているというのも独特だ。
中学教師と生徒というこれまでになかった禁断愛に挑戦したのが「中学聖日記」。刺激的な内容から「教師と生徒の恋愛はよくない」(41歳男性)、「中学生と教師の恋愛など、見ていて気分が悪くなる」(43歳女性)など、“大人視聴者”に否定的な意見もある一方、「絶対毎回見たくなる。切なくて最高」(19歳女性)、「なんかドキドキして一人じゃ見られない」(19歳女性)など、10代視聴者からの支持が多く、同世代の視聴数は2位となっている。
夫と妻だけでなく娘までも不倫に陥ってしまう、これまでにない展開を見せているのが「黄昏流星群」。出世コースから外れてしまった銀行員の悲哀、子育てがひと段落した妻の喪失感、親の介護で自分の人生を生きているのかどうか葛藤している女性の孤独など、人生の盛りを過ぎようとしている人間のそれぞれが描かれており、「大人たちのぎこちなさに引き込まれる」(69歳女性)など、こちらは“大人視聴者にとって身につまされる話が共感をよんでいる。
恋愛はドラマにとって王道ではあるが、これだけさまざまなものが氾濫している世の中でもう典型的な「ドラマのような恋の話」では通用しない。それぞれがテーマをもって臨んだ4本の意欲作。ドラマの潮目が変わってきた。