潮目が変わりつつある秋 新しい視点から見せる恋愛4つのドラマ

2018年11月22日 06:41

芸能

潮目が変わりつつある秋 新しい視点から見せる恋愛4つのドラマ
ドラマ「大恋愛〜僕を忘れる君と」に出演の戸田恵梨香(左)とムロツヨシ Photo By スポニチ
 秋ドラマは久々に恋愛がテーマのものが多くラインナップされている。GP帯のドラマでは「陸王」がヒットした昨年同クールは1本も恋愛ドラマはなく、今年に入ってからもクールごとにそれぞれ2本程度。しかし、今期は有村架純主演「中学聖日記」(TBS系、火曜午後10時)、新垣結衣主演「獣になれない私たち」(日本テレビ系、水曜午後10時)、佐々木蔵之介主演「黄昏流星群」(フジテレビ系、木曜午後10時)、戸田恵梨香主演「大恋愛〜僕を忘れる君と」(TBS系、金曜午後10時)と4本の恋愛ドラマが放送中で、そのどれもが新しい試みで視聴者の反応も上々だ。
 4本の中で最も視聴者満足度が高いのが「大恋愛」。テレビの視聴状況を独自に調査している「テレビ視聴しつ」(東京・エイト社、調査対象960人)の10月度調査によると満足度は4・12(5段階評価)とドラマ部門(朝ドラから23時台のドラマ)トップ。

 好調の理由はキャスティングの新鮮さ。戸田演じる若年性アルツハイマー病を発症した主人公と、運命的に惹かれたムロツヨシ演じる小説家の恋愛劇だが、女性側からの積極的なアプローチによって盛り上がっていく展開は面白い。視聴者からは「ムロツヨシの2枚目役が思っていたよりしっくりきている」(32歳女性)、「ムロさんかっこいい」(27歳女性)など、これまでコメディ系の役が多かったムロの新境地が満足感を高めている。

 「獣になれない私たち」は、本能のままに生きられない男女の物語で。登場人物たちのさまざまな人間模様を深く掘り下げながら、先の読めない“イライラ”が逆に受け入れられている。「展開が読めないので早く続きが見たい」(46歳女性)、「イライラしっぱなしだけどなぜか見てしまう」(44歳女性)など、ネガティブな感想が視聴意欲をより高めているというのも独特だ。

 中学教師と生徒というこれまでになかった禁断愛に挑戦したのが「中学聖日記」。刺激的な内容から「教師と生徒の恋愛はよくない」(41歳男性)、「中学生と教師の恋愛など、見ていて気分が悪くなる」(43歳女性)など、“大人視聴者”に否定的な意見もある一方、「絶対毎回見たくなる。切なくて最高」(19歳女性)、「なんかドキドキして一人じゃ見られない」(19歳女性)など、10代視聴者からの支持が多く、同世代の視聴数は2位となっている。

 夫と妻だけでなく娘までも不倫に陥ってしまう、これまでにない展開を見せているのが「黄昏流星群」。出世コースから外れてしまった銀行員の悲哀、子育てがひと段落した妻の喪失感、親の介護で自分の人生を生きているのかどうか葛藤している女性の孤独など、人生の盛りを過ぎようとしている人間のそれぞれが描かれており、「大人たちのぎこちなさに引き込まれる」(69歳女性)など、こちらは“大人視聴者にとって身につまされる話が共感をよんでいる。

 恋愛はドラマにとって王道ではあるが、これだけさまざまなものが氾濫している世の中でもう典型的な「ドラマのような恋の話」では通用しない。それぞれがテーマをもって臨んだ4本の意欲作。ドラマの潮目が変わってきた。
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