渡辺棋王、久保王将に挑戦権!糸谷八段撃破 “逆襲一気”4連勝
2018年12月04日 05:30
芸能
怪物の異名を持つ糸谷との決戦は振り駒で後手に。居飛車同士の対局では先手が有利と言われる昨今にもかかわらず、策士は冷静な対応策を準備していた。角交換から糸谷が早繰り銀戦法を選択した直後の22手目、ノータイムで同じく早繰り銀をぶち当てる。
「作戦でした」と渡辺。この一手が相手にかすかな動揺を与えた。「経験したことはあるのですが、途中から構想が分からなくなって」と苦虫をかむ糸谷は得意の早指しに持ち込めない。気がつけば不利なはずの後手が終始主導権を握っていた。
終盤は慎重に指し進む場面もあった渡辺だが「大駒を切っていく寄せなので、自王の頓死筋とかを警戒していたんです」という。最終手の7五桂で金銀両取りと畳みかけ、持ち時間(各4時間)を48分余しての会心譜となった。
王将戦7番勝負には4期ぶりの復帰だ。前回の15年は郷田真隆九段(47)相手にタイトル防衛寸前まで進みながら痛恨の詰み逃しで失冠。昨年度は竜王も失い、順位戦A級からも陥落するなど低迷した時期もあった。だがB級1組では開幕以来破竹の8連勝。王将戦挑戦者決定リーグ戦でも1勝2敗と追い込まれながら、この日のプレーオフ含め4連勝だ。
「うまい巡り合わせになりました」。タイトル戦で久保と対するのは11年の棋王戦で1勝3敗と敗退して以来2度目。右肩上がりの流れに乗って大舞台に乗り込もうとしている