久保王将、オキテ破りの6二王 ゴキゲン中飛車8手目いきなり
2019年01月14日 05:30
芸能
2年前に王将位にあった郷田は久保を挑戦者に迎えた。同じ手順で進んだ開幕局、後手の久保の8手目は定跡の[後]5五歩だった。タイトル戦の久保を誰よりも知る郷田がうなる工夫の一手。渡辺も「序盤で構想から外れた」と、駒組みにじっくり時間をかけた。
久保は1手損を承知で、自ら角を交換。左桂を跳ねて飛車を2筋に転回し、相手の飛車先交換を防ぎながら左銀を中央に進めた。その久保が美濃囲いから銀冠に組み替えようと8筋の歩を突いた瞬間を狙ったか、渡辺が飛車を2筋から[先]4八飛と回った。久保が[後]2四歩と仕掛けると同時に戦いが勃発し、穏やかな初日が一転激しい展開になる。一方で、郷田がふと「千日手があるかも」とつぶやいた。久保がこの日最長となる53分の長考で38手目[後]4一飛と4筋を受けると、控室が色めき立った。
以下[先]2八飛[後]2一飛…と繰り返されれば千日手となり、先後を入れ替えて指し直し。だがその4分後、渡辺はあっさり[先]7五歩と指を左辺に動かした。「手詰まりのようで、そうではない局面が続いている」と渡辺。高レベルな押し引きが続いた。
久保が飛車を2筋に戻した局面で渡辺が24分考え、手を封じた。「先手番なので打開しなくてはいけない。手得を生かす展開にしたいが、どうなっているか。すぐ終盤になるような将棋ではない」と渡辺は持久戦を覚悟。久保も「早い展開になるか、まだ駒組みが続くかは見えてこない」として、開戦の時期を挑戦者に委ねた。