久保王将、渡辺棋王 吹雪舞う大阪の戦い 熱い探り合い
2019年01月27日 05:30
芸能
久保は8冠中唯一の振り飛車党。アマチュアには親しみ深い戦法も、プロでは近年減少傾向にある。開局後すぐ飛車を振る一手の負担が大きいとされ、「自分が活躍すればまた増えていく」と久保。その歯止めになることを励みにするロマンチストだ。
一方の渡辺は居飛車党の第一人者。久保とのタイトル戦は2011年棋王戦以来2度目で、その時は3勝1敗で久保が防衛した。
当時話題になったのが渡辺の「ゴキゲン中飛車を終わらせる」。居飛車党の気概を示す発言を「ゴキゲン中飛車の勝率が高く、大流行していた時期ですね」と懐かしむ。ゴキゲン中飛車とは創始者・近藤正和六段(47)の朗らかな人柄によるが、有力戦法へ育て上げたのが久保。
2014年王将戦ではその渡辺が採用して注目された。挑戦者の羽生善治3冠相手に第4局に続いて3勝3敗の最終局でも取り入れ、防衛に成功した。勝利のためスタイルを変える柔軟さを持つリアリストだろう。
久保は敗れた第1局に続いてゴキゲン中飛車を連採した。[先]5六歩は消費時間0分が示す用意の初手。渡辺相手ゆえの思惑すら感じさせる戦型選択だった。