ガンダム40周年 世界的工業デザイナーがデザインする“リアルガンダム”
2019年01月31日 19:55
芸能
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これまで工業デザイナーがデザインしたガンダムでは、シド・ミード氏(85)の「ターンAガンダム」(99年)がある。「ヒゲのガンダム」と呼ばれ、シリーズで最も特徴的なデザインで知られる。従来のイメージを離れた部分もあり、ファンの声は賛否両論に割れた。
聞けば、奥山氏はミード氏と同じ米国の大学の後輩で、現在も連絡を取り合う関係。ターンAの印象も含め、会見で記者が質問すると「ヒゲのガンダムは非常に魅力的だが、僕はシド・ミードにはならない。初代ガンダムを忠実に再現したい」と答えた。
実は奥山氏はガンダム好き。「今年で還暦」と言うが、大学時代に見た初代ガンダムのアニメに魅了され、過去の仕事にも「ガンダムからインスパイアされたデザインが多い」というほどだ。
スポーツカー「エンツォフェラーリ」は発売当時、吸気口やデコボコした空力処理が施されたボディー形状などが「ガンダムっぽい」と一部で話題になった。これについて「当時は言えなかったが、その通り。この辺(フロント部分)なんかコアファイター(戦闘機)です」と明かした。
今回の「RX―78」はガンダムファンの目線から「初代の人間らしい動きをするガンダム」を再現したいのだという。
初代ガンダムに限らず、当時のアニメでは、ロボットが金属製であることや関節構造を無視した人間らしい動きをするのが普通だった。もちろん制作側はその矛盾を承知の上で、シビれるポーズをとらせた。
中でも初代ガンダムは、作画監督兼アニメーター安彦良和氏が描く、躍動感ある動きが魅力的だった。ガンダムの手足はしなり、ねじれた。記者を含む当時の子どもは、そんなポーズを再現しようとガンダムのプラモデル「ガンプラ」を作ったものだ。
しかし、これは簡単ではなかった。関節が人間のように動かないのだ。プラスチックのロボットに、人の動きをさせるのは不可能だった。工業製品として、量産上の技術的限界もあった。
だが来年40年を迎える「ガンプラ」は、当時できなかったポーズができるようになっている。関節構造の研究開発など、個人的にはもはや科学の領域だとすら思う。これがアニメにもフィードバックされ、劇中のロボットにリアリティーを生んできたのがガンダムの歴史でもある。
そこに今回、現実世界で車や船を手掛ける工業デザイナーが参加するとあれば、さらなる進歩を期待せずにいられない。
奥山氏は「右手で左肩後ろを触ったり、ヒザを胸につける動きなどができるようにしたい」などと話した。腰回りの構造についても熱弁を振るい「昔のガンプラは“パンツ構造”だったが、今は“スカート構造”になっている。これをパンツ構造に直してみたい」などと目を輝かせた。
人型の巨大ロボットは、今も昔もアニメの中の夢物語。だが、ガンダムに夢中になった人たちが、今も真剣にモノ作りをしている。来年夏には“動く実物大ガンダム”の計画もある。いつか人が乗り込んで操縦できる巨大ロボができるのだろうか?などと想像してしまった。(岩田 浩史)