久保王将 引かず3連続ゴキゲン中飛車、渡辺棋王は端攻め仕掛ける

2019年02月07日 05:30

芸能

久保王将 引かず3連続ゴキゲン中飛車、渡辺棋王は端攻め仕掛ける
王将戦第3局で対局する久保王将(右)と渡辺棋王(撮影・吉田 剛) Photo By スポニチ
 【第68期王将戦7番勝負第3局第1日 ( 2019年2月6日    栃木県大田原市・ホテル花月 )】 久保利明王将(43)に渡辺明棋王(34)が挑む第3局がスタートした。2連勝と優位に立つ先手の渡辺は前掛かりな攻撃態勢を取りながらも慎重な指し回し。対する久保は3局連続でゴキゲン中飛車を採用する対抗型シリーズらしい展開となった。久保が54手目を封じ、第1日は終了。第2日は7日午前9時から指し継がれる。
 将棋の番勝負はテニスの試合に例えられる。先手=サーブを持つ方が常に有利だからだ。そしてそのサーブ権は対局ごとに入れ替わる。よって相手サービスをブレークするのが勝利への近道だ。将棋なら後手番での白星が何よりも貴重となる。その後手だった第2局を制し、2連勝スタートの渡辺が有利な立場にいることだけは間違いない。

 一方で久保としてはぜひともブレークバックを実現させたいところだ。そこで披露した戦術は、やはりゴキゲン中飛車。「そのつもりで用意していたので」と、王者はさりげなく明かした。これで3局連続のエース作戦投入。負けるとカド番に追い込まれるだけに、振り飛車の第一人者としても絶対に引けない。

 対局室から見下ろせる那珂川のゆったりとした流れのように第1日の駒組みが柔らかく続く。唯一のアクセントは挑戦者の49手目[先]9五歩。副立会人の佐藤和俊六段(40)は「意外に早いタイミングでの端攻めです」と驚きを隠さないが、指された王将は「特に意外ではなかったですね」と軽く流す。第2局では厳しい端攻めに遭い、それが敗因ともなっていた。同じ手を2度食らうほど甘くはない。[後]同歩[先]9三歩の進行にも20分の時間を費やして[後]同香と冷静に対処した。

 渡辺もじっくり構える。「全く同じ前例があるかは分かりませんが部分的には定跡の範囲内ですから」。連勝発進、さらに今対局は先手とプロ棋士ならばよだれを垂らしそうな好条件にも「第3局からはお互いひねり出す展開になる。内容も濃くなるので」と慎重だ。事実、4年前の第64期7番勝負では2連勝で迎えた第3局を落とし、最後は失冠。場所も同じ大田原だ。気を引き締めるのも当然だろう。

 大駒同士の交換がなく、一見静かに終了した第1日。激しい開戦を告げる一手が、盤面のどこかに潜んでいる。

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