奥田瑛二 あの名優に認められた“マジバトル”「大監督になる予感がします」
2019年02月08日 21:07
芸能
そんな奥田がマジバトルをふっかけた相手は、日本を代表する名優、緒形拳さんだったという。
06年、監督3作目「長い散歩」(モントリオール世界映画祭グランプリ受賞作)で奥田が緒形さんを主演にキャスティングする。だが、あるシーンの緒形さんの演技が気に入らない。
「今演じたのは緒形さんの今までの芝居。台本には次に何が起こるか書いてあるが、人生は次に何が起きるかわからない。(台本の)次のページを気にせず、演じてください」
こともあろうか、奥田は緒形さんの芝居を全否定したのだ。これには名優も切れた。
「じゃ、やってみれよ」
奥田も「ムカーッときて…。奥田瑛二120%で本気でやった」ところ、しばし沈黙のあと、緒形さんは「ふーん、わかった」と応じた。のちに緒形さんは、奥田を「大監督になる予感がします」と認めたという。
緒形さんは08年、肝がんのため死去する。亡くなる間際まで周囲には病状を伏せていたが、奥田にだけは打ち明けていたという。
遺作となった「風のガーデン」で共演していた2人。奥田が次回作を緒形さんにオファーしたところ、「ごめん…。体力がない」と断る。「1年待ちましょうか」と奥田があきらめずにいると、「なしにしてくれ」とはじめて病気のことを明かしたのだという。