加藤雅也 北方ワールド体現 小説「抱影」映画化 中野英雄が初プロデュース「夢だった」
2019年02月16日 08:38
芸能
作品を作り上げたのも、渋い男たち。プロデューサーは俳優中野英雄(54)が務め、自ら映画化を推し進めた。脚本はVシネマなどで活躍する俳優小沢和義(54)が担当した。
初の映画プロデュースとなる中野は、北方氏の大ファン。映像化された作品に出演したことはなかったが「当時の悔しさをバネに、どうしても先生の作品を1本映画化したい。それが夢だった」と説明。「同年代の監督に撮っていただきたい」と「相棒」シリーズなどを手掛けた和泉聖治監督(72)と交渉し、快諾を得た。
撮影は昨夏。北方氏は加藤の自然体の演技を絶賛した。「てらいのない存在感が漂い出して、間違いなく新しい境地に立ったことを感じさせた。影に抱かれた男の、激しさと悲しみ。人はなぜ生きるのかという命題にさえ、ある答えを出したと思う」と称えた。
加藤が原作を読んだ印象は「余計な説明のない漠然とした世界観が頭に入ってくる小説」だった。自身もセリフではなく、作品の世界観を雰囲気で表現するように心掛けて演じた。「一人の男の生きざまを楽しんでいただけたら」と自信を見せた。
≪北方氏70年デビュー、歴史小説も≫北方謙三氏は70年に「明るい街へ」でデビュー。81年からハードボイルド小説を書き始め「眠りなき夜」「檻」などがベストセラーになった。89年からは歴史小説にも挑戦。代表作の一つ「水滸伝」は06年に司馬遼太郎賞を受賞している。16年には全51巻の大作「大水滸伝」シリーズで菊池寛賞を受賞した。現在、直木賞の選考委員を務めている。