久保王将 逆襲へ今ステージ初の三間飛車
2019年02月25日 05:30
芸能
「途中に仕掛けが入って、そこから激しい展開ですね」とカド番の王将が息を吐く。もう1敗もできない状況で用意した戦法は三間飛車だった。[先]7八飛と大駒をスライドさせた大胆な初手は強めのジャブ。振り飛車党の指す想定内の一手とはいえ、滑り出しは久保のペースで進んでいく。
守りを固めようと穴熊を志向する相手に対し、そうはさせまいと25手目に[先]4八飛。一見して自然な、何げない一手が何らかのバタフライ効果を呼んだのか。以降の局面は微妙に変化した。
後手番ゆえ、まずは専守防衛の渡辺が指す、その応手一つ一つが不思議な連動を見せる。49手目[先]5五同角に対した50手目の[後]5四金(第1図)は控室の検討陣すら予想し得なかった好手。いわゆる「指しやすい」状況となり、ポイントは着実に稼いだ。
「明日(25日)は朝からもう終盤戦。一手の緩みも許されない場面が続くでしょうね」と表情を引き締める渡辺。久保も「攻め合いになっていくと思います」と一歩も引かない構えだ。ストレートで挑戦者の復位となるのか、ディフェンディングチャンピオンが意地で一矢を報いるのか。那覇の空を覆う鉛色の雲からは、しとしとと雨粒が落ち続けている。