小池一夫さん“キャラ立て”提唱「主役には弱点、悪役には欠点を」
2019年04月20日 08:30
芸能
戦中生まれが75歳で始めたSNS。4年前にインタビューした時、戦後とは「我々国民が平和を手にした70年」と位置づけ、民主主義とは「納得するまで議論することが大前提。みんなが互いを知り、分かり合えば戦争は起こらない」との信念から、世代を超えて議論できるSNSを始めたと理由を明かした。
座談の名手で「僕は“エレクチオン”の一言だけで家を建てましたから」と自身の言語能力をユニークな表現で誇る一方で複眼的な視点でどんな事象も明快に切り取る。「戦後70年」の企画など折々でお話をうかがったが、死と老いについても「人間だけが知性によって受け入れることができるんですよ」と泰然自若とされ、旅立つその日までツイートを毎日続けた。
功績の一つが70年代から提唱した「キャラを立てる」という手法。「主役には弱点、悪役には欠点」を持たせることで登場人物を魅力的に描き、その手法を「キャラクター原論」として確立。77年に開講した「小池一夫劇画村塾」からは、1期生の狩撫麻礼、工藤かずや、さくまあきら、高橋留美子、たなか亜希夫をはじめ、多くの人気漫画家やクリエーターを輩出。3期生の原哲夫の代表作「北斗の拳」は「主人公のケンシロウ、ライバルのラオウなど僕の理論の成功例」と説明。一方で、自身の出世作「子連れ狼」の拝一刀と大五郎。「実はあれは私と私のオヤジなんです」と無口な主人公のモデルを明かしていた。=敬称略=(編集局次長兼文化社会部長・阿部 公輔)