古尾谷雅人さん長男、父の名“襲名”して再デビュー 「俺とやれるところまで来い」佐藤浩市に背押され…
2019年05月10日 21:03
芸能
父、古尾谷さんは映画「ヒポクラテスたち」で脚光を浴び、「金田一少年の事件簿」「六番目の小夜子」などのドラマでも活躍した。人気俳優の「二世」として雅さんも順調なデビューに見えたが、その矢先、悲劇が待っていた。父、古尾谷さんが45歳の若さで自殺したのだ。その後、仕事が激減すると、雅さん本人もやる気を失った。「要は逃げたんです」と自嘲気味に振り返る。
俳優を廃業したあとはコンビニ店員などをして暮らしていた。だが、ずっと頭から離れない“言葉”があった。それは、俳優の佐藤浩市(58)が、雅さんに伝えた亡き父の思いだった。
葬儀の翌日、自宅にやってきた佐藤は「葬儀に出席できず申し訳ない。お線香をあげさせてください」と遺影に手を合わせた。そして次のエピソードを語ったという。
古尾谷さんと佐藤はドラマ「天国への階段」で共演した。最初のころ、古尾谷さんは佐藤のことをよく思っていなかった。「何が佐藤だ、二世(父は俳優、三國連太郎)のくせに…」。
だが、撮影が進むにつれ、「こいつ、ただの二世じゃない。本物の役者だ」と3歳年下の佐藤に敬意を持つようになった。
プライベートでも付き合うようになり、ある時、佐藤に悩みを打ち明けた。「息子が俳優をやっている。演技のアドバイスなんか止めたほうがいいかな?」
雅さんの俳優デビューに反対だったといわれた古尾谷さんだが、内心では「心配しながらも応援していた」のだ。
佐藤は雅さんに向かって、こう語りかけた。
「お父さんのようになりたいなら10年は頑張りなさい。そして、俺とやれるところまで来い。待ってるよ」
偶然にも舞台プロデューサーから「もう一度役者やってみないか」というオファーが来た。
「どうして僕に?」と訝る雅さん。
プロデューサーによると、2年前、古尾谷一家のその後を同番組が取材したとき、出演していた雅さんの姿を見たのがきっかけだったという。
雅さんはそのオファーを受け、朗読劇の主役として舞台に立った。芸名は父の「古尾谷雅人」に改名した。
「こっから10年。46歳になって、どっかで見守ってくれている父と一緒に…」と雅さん。そう、佐藤に会いに行ける役者になるため、36歳の今、ゼロから役者人生をスタートさせたのだ。