桂福団治 10月26日に芸歴60周年の記念公演を開催
2019年06月07日 14:17
芸能
「大きく変わった人生観をぜひしゃべりたい」とするライフワーク、手話落語ももちろんその候補。聴覚芸である落語を視覚芸とする試みは当初、福団治自身「これはあかんなあと思われても言い訳できない破壊行為」と感じていた。ましてや当時上方落語協会の理事。
「コソッとやるつもりだった」奈良でのお披露目公演はマスコミが押し寄せ、全国ニュースになったことで思惑は外れた。ところがある落語会の楽屋で、上方落語界の重鎮だった故桂米朝さんからかけられた一言で救われたと振り返る。「福ちゃん、このネタ、手話落語でできへんか?」。手話落語に適しそうな演目の提案があったことで空気が一変したと回想し、こぞって落語仲間からアドバイスしてくれるようになったという。
「思い出深い人情噺」とするねずみ穴は、故立川談志さんの大阪での公演を見て東京へ出掛け、10日間泊まり込んで教わった演目。「江戸の人情噺を上方へ持ってこさせていただいて、後継者に継承してもらって」と上方落語の後輩に引き継いでもらいたい意向をにじませた。