“ミスター日曜劇場”香川照之「集団左遷」でも存在感!役者超えた“伝道師”撮影初日にスタッフの名前覚え
2019年06月16日 07:00
芸能
“平成最後にして令和最初”の同局看板枠。作家・江波戸哲夫氏の「新装版 銀行支店長」「集団左遷」(講談社文庫)を原作に、行員をリストラから救った三友銀行・蒲田支店の支店長から本部の融資部部付部長に異動した片岡(福山)と、人事担当の常務取締役から専務に昇格した横山(三上博史)によるバトルがさらに熱を帯びる。
物語が佳境に近づく第9話は、懸命の調査の末、横山専務(三上)の裏金づくりを暴き出した片岡(福山)。しかし藤田頭取(市村正親)が裏切で、証拠となるリストから横山の名前は消されてしまっていた。外資系インターネット通販「ダイバーサーチ」との資本提携のカギを握る横山との取引に応じた藤田頭取の真の狙いとは――。藤田頭取に裏切られ、憤る片岡だが、不正の新たな証拠をつかむべく、再始動。巨大外資との提携による大規模な合理化とリストラの大波が押し寄せる中、滝川(神木隆之介)ら元蒲田支店メンバーが立ち上がる。不正に築き上げられる会社の未来に、真正面から勝負を挑む片岡たち。そして、起死回生のチャンスが意外な人物からもたらされる…という展開。
香川が演じるのは、蒲田支店副支店長として片岡の右腕となり、日本橋支店副支店長に異動した真山徹。片岡の蒲田支店支店長就任当初は敵か味方か分からない謎の存在だったが、今や片岡の“最高の相棒”。第7話(6月2日)、2人はある告発メールの差出人を調べることになり、片岡は真山に「久しぶりですね、この感じ」と語り、2人は共に充実した表情を浮かべ、お互いに向かって一礼。10年のNHK大河ドラマ「龍馬伝」以来の共演。役柄を超えた2人の固い絆が感じられた。
香川の魅力について、飯田プロデューサーは「この表現があっているのか分かりませんが、『役者の域を超えている人』。『俳優』と呼んでいいのか分からなくなってきます。教育者とも違いますが、『この人に学べ』という要素がいっぱい詰まっている人です。現場では、若い技術スタッフと絡んで現場の雰囲気を和ませたり、若い俳優たちに演技のリアクションの仕方を伝えたりと、そういうことに注力しているので、もはや『俳優』とは思えません。香川さんのおっしゃることを一字一句ノートに書き溜めておきたいぐらいなので『伝道師』みたいな人。たぶん、もう己の表現だけでは飽き足らないんじゃないかと思います」と明かす。
今回、香川のクランクインが遅かったという。飯田プロデューサーは「初日にいらっしゃって、まず何をされるのかと思ったら。出番前なのに『現場に行ってくる』とスタッフの名前を覚えに行かれました。香川さんが『音声さん』とか『美術さん』と呼ぶところは見たことがありません」と秘話を打ち明け「まだ若い監督の演出に対しても、ご自身の経験で培ったすべてを伝えようとします。例えば、喫茶店や居酒屋のシーンで、シーンとしては1対1で話せば成立するとしても『ここで店員が来て注文することで、台詞が入りやすくなる』といった演出のアイデア出しも。『香川さんが現場にいる』ということがもたらす影響力は本当に大きく、簡単に言葉で表現できるようなものじゃないくらいの存在だと思います」と最大級の賛辞を贈った。
日曜劇場がヒット作を連発している要因の1つは、香川の有形無形の影響なのかもしれない。