伝説のホラー漫画家・日野日出志氏ドキュメンタリー映画 渋谷で1回限定上映 故水木しげる氏との秘話も
2019年06月23日 05:30
芸能
日野氏は1970年代からホラー漫画約450作品を発表し、国内外でカルト的人気を誇る。映画では、ちばてつや氏(80)や里中満智子さん(71)ら約20人が、日野氏の生い立ちから人柄、功績や作品の魅力を語っている。
日野氏とちば氏は満州(中国東北部)で暮らし、戦後に引き揚げた経験を持つ。2人は多感な時期に感じた「(生まれた)国がない喪失感」や「疎外感」「差別」を語り、創作の源流をたどっている。
日野作品の魅力はグロテスクな絵と、人間の悲哀。しりあがり寿氏(61)は「怖く、気持ち悪いけどキレイな絵」、犬木さんは「モノクロの漫画なのに、カラーのイメージが残る」と語り、文芸評論家の清水正氏(70)は「『蔵六』は死と美、創造など、人間の永遠の問題が漫画一編の中に込められている」と批評している。
「ゲゲゲの鬼太郎」の故水木しげる氏との秘話も明かされる。日野氏が経済的に困窮していた時期に「夜の仕事場で小さな鬼のようなものを見た」と水木氏に相談したところ、「それは座敷わらしだよ。これから良いことがあるよ」と言われたという。日野氏は「何を言ってるんだろうと最初は思ったが、あれは励ましだったんでしょう」としんみり。その後、ホラー雑誌ブームに乗って順調に仕事が運んだという。
ここ約15年は新作発表もなく“伝説の作家”となっていた。昨年、千葉県の銚子電鉄のスナック菓子「まずい棒」のキャラクターデザインで画業を再開。映画では「死に触れざるを得ない仕事で、ちょっとしんどいなと感じて休んでいた」と“休業の謎”も明かされている。初挑戦する絵本「ようかい でるでるばあ!!」(27日発売)についても語っている。
当日イベントの詳細は特設ページ(hinohideshi-movie.com)で。