ダンサー菅原小春「いだてん」日本女性初の五輪メダリスト・人見絹枝を熱演「魂燃やして伝えたい」
2019年07月06日 06:00
芸能
昨年大みそかの「第69回NHK紅白歌合戦」では初出場した歌手・米津玄師(28)の「Lemon」歌唱中にダンスを披露し、話題を呼んだ菅原。今作では、女子の体育教育に力を注いだ金栗四三(中村勘九郎)や、女性スポーツを普及させた第一人者・二階堂トクヨ(寺島しのぶ)に導かれ、アムステルダム五輪に出場する人見絹枝役を演じる。
今回の演技初挑戦について「作品がどのようにできていくのか知らなかったのですが、現場で多くのことを学ぶことができた。プロの人たちがどんな風に役に入っていって、本番にどうやって演技を出していくのか。寺島さんをはじめ役者の方から学ぶことが多かったです」と振り返った。
初登場は6月の第22回「ヴィーナスの誕生」。日本女性離れした見事な体格の人見が、スポーツアイドルとなった四三の教え子・富江(黒島結菜)たちをテニスで圧倒した。菅原は当時の女子スポーツに対する世間の評価や、高い身体能力を持ちながらも見た目のコンプレックスに苦しむ人見を好演した。
人見絹枝という人物像について「心は女性なんです。私もそうで、裁縫が好きですし、ご飯を作るのが好き。周囲の人と温かく触れ合いたいが、見た目でそうは思われない。バックダンサーをやっていた時に、骨格、体形が他の人と違って目立ってしまうんですね。“ちょっとエナジー抑えて踊って”とか言われてしまって。骨格や体形がコンプレックスだった時もあったのですが、海外に飛び出したときに“なんだ全然普通じゃないか”と気付くことができた。コンプレックスを自分の強みにする努力をしないといけないと思った。そういう部分は人見さんと通じるところがあったと思う」と自身の解釈を語る。
◆演技初挑戦も抜群の存在感、大根監督「見たことがないタイプの芝居」◆
7日の第26回では、自身が大切にする“魂を込めた”演技を披露する。人見は重圧に押しつぶされ、期待されたアムステルダム五輪100メートルで惨敗。“このままでは日本の女子スポーツの未来が閉ざされる”と、未経験の800メートルへの挑戦を決意するが…。
取材前のメディア向け試写会では、視聴した記者たちが熱演に引き込まれた。ドラマ「モテキ」「まほろ駅前番外地」などのヒット作を手掛けてきた演出担当の大根仁監督(50)も、菅原の初挑戦とは思えぬ演技を称える。
「菅原さんの演技は、見たことがないタイプの芝居だった。これまで何百という数の作品を撮影してきて、脚本を読むと“大体こんな感じになるなあ”と、良くも悪くもイメージができてしまうのですが、10年に1本くらい“これは、とんでもないものができ上がるかもしれない”と感じる時があります。僕は『神回』という言葉は好きではないが、撮影側の実力や演出力を超えてしまう、何か別の力でつくらされているようなドラマがたまにでき上がるが、今回はまさにそういう回だった。競技場控室の場面を撮影した時に“とんでもないものができ上がるな”と確信した」
今回の演技経験について「スキルもテクニックも、全てを削いでいったら、魂だけになるようなところはダンスと同じだなと思った」と菅原。新たな演技挑戦は?という問いに「女優さんは女優さん。プロフェッショナルな人がいる。私は私で、人見さんのような生き方に共鳴できる人物がいたら。私がチャレンジして、身体と魂を通して伝えたいものがあれば今後もやらせていただきたいです」と笑顔で答えた。「表現者・菅原小春」のさらなる活躍が楽しみだ。