人生は野球の試合に似ている 宮沢氷魚 本気でプロ野球を目指した少年時代
2019年07月23日 10:30
芸能
父は人気ミュージシャン、母はタレント光岡ディオン(54)と芸能界一家で育ったが、高校時代まで真剣にプロ野球選手を目指していた。
2004年6月5日、横浜スタジアム。ここで野球に魅入られた。初めて生で見たプロ野球・横浜―阪神戦。5―5の9回2死から「鈴木尚典選手がサヨナラホームランを打ったんですよ」。この日まで打率・198と苦しんでいた主軸が、もみくちゃにされ会心の笑みを浮かべた光景が焼き付いた。「勝敗だけでなく、いろんなものを1球で逆転できるんだって。そこに感動しました」。自分が打ったかのように語る。
少年野球チームに入ると「驚くほどすんなりうまくなった」と才能が開花。小学4~6年時は、3年連続でリーグの選抜メンバーに選ばれ「プロ、目指せるんじゃないか」と本気になった。中学に入り、プロ野球・ソフトバンクで活躍する福田秀平外野手(30)らを輩出した「世田谷ボーイズ」の門を叩く。
順風満帆な人生と思っていた。だがここで初めて挫折を味わう。「最初は背番号をもらったりしてたけど、うまい子がどんどん入ってきて、自分も全然打てなくって」。背番号は奪われた。気にもされなくなった。練習は人一倍やっているつもり。でもうまくいかない。「何が楽しいんだろ」。チームから消えたい。そんな時一人のコーチが光をくれた。それが福田選手の父・徹さんだった。「他のコーチは見向きもしない中“おまえは伸びるから”と僕を励まし、マンツーマンで教えてくれた」と感謝する。
徹さんは当時、左足に悪性腫瘍を患っていた。それでも大好きな野球に生活をささげ、しかも「僕だけでなくポジションを取られた子を応援してくれた」と主力でない子供の育成にも腐心し続けた。
「それまでは自分が打てれば、エラーしなければと思っていたけど、この人のために頑張りたいと初めて思えた」。もう一度無我夢中になり、中学3年でレギュラーを奪った。挫折を越えての成功体験も大きい経験となったが、最大の成長は「本当のチームワークとは何かがはっきり見えたこと」。それが今の糧となっている。
15年、21歳で「メンズノンノ」の専属モデルとしていきなりセンターに。有名芸能人夫妻の2世として“ドラフト1位”級の扱いを受けた。「でも最初の数カ月だけ。徐々に立ち位置が端の方になった」と苦笑いする。
そんな時も、役立ったのはチームワークの精神。「野球と違ってうまくなかったですが、現場の仲間を第一に考えることはできますからね」。自然と、自身に求められることも察知できる。
「ドラマの現場でも“氷魚くん、勘がいいよね”と言ってもらえるんです」。出演中の日本テレビドラマ「偽装不倫」(水曜後10・00)でのミステリアスな演技への評判も急上昇している。
「氷魚」は冬に極寒の琵琶湖で育つアユの稚魚。釣り好きの父が「どんな環境でも生き抜けるように」と付けた名前通り、しなやかに跳ね回っている。
脚光を浴びる2世は期待を裏切ったときの風当たりも強い。世田谷ボーイズの先輩に、巨人などで活躍した角盈男氏(63)の次男で、ロッテに08年育成選手として入団した角晃多さん(28=現BCリーグ武蔵監督)がいたが「あんなうまい人でも1軍に上がれなかった。かなりのプレッシャーを感じていたと思います」。
だが悲そう感はない。野球を通じて得たもう一つの金言がそうさせる。プロ野球を諦め人生を見失いかけた高校時代。「しょせん遊びじゃん。考えすぎるのなんてもったいねえじゃん」。当時の監督はそう言った。
人生も、数十年をかけた、野球の試合のようなもの。「努力や鍛錬の尊さを追求するのはもちろん大事。それに加えて“プレー”することの楽しさを忘れずにいたいですね」
今も実家に帰るたび弟とキャッチボールをする。中学2年から手入れを重ねたグラブはまだ現役。心は今も白球にときめいた、あの日の少年のままだ。
≪原作者強い推薦で ドラマ「偽装不倫」カメラマン役熱演≫ドラマ「偽装不倫」で宮沢はイケメンカメラマン・伴野丈役。主演の杏(33)演じる32歳・独身の鐘子が一人旅に出掛けた飛行機で出会い、鐘子がついた「既婚」というウソをきっかけに、一夜の関係を結ぶ。自身も「最初は信じられなかった」という抜てきだが、原作漫画の作者・東村アキコ氏も「ぜひにと激推しした。彼しかいない」とぞっこんだ。「タイトルからドロドロの物語と思われがちですが、とてもピュアなラブストーリー。コメディータッチのシーンにも挑戦していますので、楽しんで見てもらえたら」と自信を見せる。10日放送の初回で見せた濃厚なラブシーンも話題に。「キスシーンすら過去にやったことがなかった」と苦笑いしつつ「今後もっと激しいのがあるんじゃないでしょうか。お楽しみに!」とニヤリと笑った。