「監察医 朝顔」日常描写好評も金城P「月9の根本は不変」特別編は「皆さん楽しげ」未公開回想場面フルに
2019年09月30日 09:00
芸能
朝顔が阪神・淡路大震災で母を亡くしたという原作漫画から、ドラマは東日本大震災で母・里子(石田ひかり)が行方不明になっているという設定に変更。フジの連続ドラマとして初めて東日本大震災を真正面から扱った。
「特別編」は朝顔(上野)が東日本大震災に被災して以来、行けなくなっていた母の里子(石田)の実家を訪ね、また新たな一歩を踏み出した後のある日、興雲大学法医学教室に推定70歳から80歳の高齢者の遺体が運ばれてくる。外傷もなく、身元につながる物は一切身につけておらず、指紋を調べても何も出ず、歯も1本もない状態。あまりに手掛かりのない遺体を前に、朝顔が思い出すのは“あの事件”だった…という展開。朝顔と夫・桑原(風間俊介)が出会う“エピソード0”も描かれる。
「特別編」の制作・放送について、金城プロデューサー(P)は「とてもありがたいことだと思います。私自身がこの朝顔一家の大ファンなので、続く“ある1日”を描けるのはうれしいことでした」と喜び。「実は、朝顔が東日本大震災に遭うという『回想部分』は、そのシーンだけを『回想台本』としてまとめて、本編の撮影とは別に撮影していました。早々に回想台本部分は撮り切り、いつでも回想シーンをドラマに取り入れられるようにしていましたが、実は使っていない部分も多く残されているのです。この特別編では、そのシーンを回想台本通りにすべて放送させていただきます」と明かした。
レギュラー放送と「特別編」を並行して撮影。「『特別編』はレギュラー放送の途中で決まったので、スケジュールのやりくりに頭を抱えました。それでも、キャスト・スタッフの皆さんが、とても楽しんで撮影してくださったので、本当にこのチームで良かったと思いました。『特別編』とレギュラー放送の最終回を同時に収録している日があり、行き来が大変だったのが、今では良い思い出です」と振り返った。
特に万木家の食卓をリアルに描き、好評を博した。「ドラマだと、台本上に『朝食を食べている』『夕食を食べている』などと書いて、助監督がメニューを考えることが多いのですが、自分が助監督をしていた時に『作家さんがメニューを書いておいてくれれば楽なのにな』と思っていたこともあって、今回はメニューも作家さんや監督と決めました。各自が家庭で食べていたものの話になり『意外と食べ合わせが悪いものを食べるよね』とか『疲れたらコロッケ買ってくるよね』といったトピックをそのまま、台本に起こしていただけました」。食卓のシーンは、スタッフの実体験に基づいて出来上がっていた。
派手さはなくとも、静かな感動でファンを魅了してやまない“新しい月9”のスタイルを切り開いたとも言えるが、金城Pは「“新しい月9”などという大層な狙いは全くなく、今まで月9ドラマが持っていた『見たいものを見せてくれる』というポイントを忠実に守りたいと思っていました。私もいち視聴者として、華やかで美しい生活を見たい時もありますし、そうではなく穏やかなありふれた暮らしの様子を見たい時もあります。この『監察医 朝顔』にとっては、登場人物がありふれた日常を過ごしている姿が見たいと思い、作家さんや監督にもいろいろ“お家あるあるエピソード”を出していただき、このような形になりました。そういう意味では、月9の根本は何も変わっていないと思っています」
「朝顔先生をはじめ、平さん、桑原くん、つぐみちゃんたち朝顔一家と、法医学教室のメンバーと野毛山署の刑事さんの“ある1日”が描かれます。『特別編』ということもあり、皆さんすごく楽しげにしているのが見どころです」と呼び掛けた。