藤井七段 初進出1勝 リーグ史上2位の年少白星

2019年10月01日 05:30

芸能

藤井七段 初進出1勝 リーグ史上2位の年少白星
三浦九段(左)相手に初手を指す藤井七段 Photo By スポニチ
 将棋の第69期大阪王将杯王将戦(スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社主催)は30日、東京都渋谷区の将棋会館で挑戦者決定リーグの1局が行われ、リーグ初進出の藤井聡太七段(17)が135手で三浦弘行九段(45)を下した。この日で1巡目が終了し、白星スタートは藤井のほか広瀬章人竜王(32)豊島将之名人(29)の2人。藤井は7日の次戦で豊島名人と対戦する。
 局後の藤井は微妙に感情が入り交じる表情だった。

 「難しい展開でした」と一度は総括したが、三浦が終盤の90手目に打った勝負手△7七銀に対し、本譜の▲同桂ではなく▲8四銀成の飛車獲得ではとの問いには、やや苦悶(くもん)の顔つきになって天井を仰いだ。次の瞬間、敗れた三浦九段の方から「(自分の)詰みでした」と衝撃のコメント。なんとこの場面で長手数ながら即詰みの進行があったという。気がついていなかったのは皮肉にも藤井本人。将棋界ではよくあるケースでも「そうですか…もっとしっかり読まなければいけませんね」と反省の弁だ。
 ラグビーに例えるなら終始マイボールのスクラムで相手にプレッシャーを掛けながらゴールに迫る展開。だがゲインラインを容易に突破できない。詰みを逃してからは相手の総反撃を許して、自らが混戦を演出してしまった。終盤の寄せや詰みには天才的な鋭さを持つ「5G世代」の代表格にとって、冷や汗をたっぷりかいた一局に違いない。
 内容的に胸は張りにくくても、王将戦の歴史に残る1勝だ。挑戦者決定リーグで最も若い初勝利者は第6期(1956年=昭31)の加藤一二三・六段(当時)。9月21日に花村元司八段を下した時が16歳8カ月だ。藤井の17歳2カ月はリーグ史上2位。偉大な先達に続く若年記録となった。
 「いいスタートが切れました。これからも速いペースで対局が続きますし、大変な強敵ばかり。気を引き締めてやっていきたい」
 次の相手・豊島名人は過去3戦3敗。最も苦手とする大きな壁だ。そして日本中が注目する永世7冠保持者・羽生善治九段(49)との2度目の対決も21日に決定。タフな戦いは間髪を入れずに続いていく。 (我満 晴朗)
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