「スカーレット」中條誠子アナの“語り術”存在感消して溶け込む“近所のおばちゃん”最後は映像を感じて
2019年11月06日 08:15
芸能
![「スカーレット」中條誠子アナの“語り術”存在感消して溶け込む“近所のおばちゃん”最後は映像を感じて](/entertainment/news/2019/11/06/jpeg/20191105s00041000152000p_view.jpg)
中條アナは96年入局。「新日本風土記」の語り、「コズミックフロント★NEXT」のナレーション、「どーも、NHK」の司会などを担当してきたが、ドラマの語りは初挑戦となった。
オファーに対しては「ビックリして『えっ!朝ドラですか!?』と聞き直してしまいました(笑)。私は今年で入局24年目。回り回ってまわり、かつて番組でご一緒した内田ゆきチーフプロデューサーから声を掛けていただき、本当に光栄でした」と率直な心境。
「実は、私はナレーションの仕事が大好きなんです。入局3年目に『国宝探訪』という番組を担当し、先輩にいろいろ教えていただきながらナレーションに開眼した経験がありまして…。以降、ドキュメンタリー、災害、医療、歴史、自然など、さまざまな番組のナレーションをやってきたのですが、今回ドラマは初めて。またひとつ、大きな気付きを頂けるチャンスを頂いたと思いました」。さらなる飛躍への絶好機と受け取った。
ナレーションが大好きというだけあり、向き合い方も半端ない。
「語りにはいろいろなやり方がありますが、私の場合は作品の一部に違和感なく溶け込むことで、あまり存在感は出さない語りがよいと思っています。とにかく視聴者の皆さんには15分間ドラマの世界に没頭していただけるように努めたいと思っています。基本的には、近すぎず、遠すぎず、喜美子をはじめとした登場人物たちを近くで見守っている“近所のおばちゃん”ぐらいの距離感で語るようにしています」と、まずはベースとなる心構え。
「でも、語りといっても、関西ことばを交えながら喜美子の心情を代弁しているもの、歴史的事実を語るものなど、さまざまあります。ですから、カメラワークにもアップや引きがあるように、語りもグッと喜美子の頭の中に入り込んで感情を込めて語るものから、反対にスーッと引いて客観的に語るものと、それぞれに立ち位置を変えて語っています。それから、ストーリー全体の語りの『位置』にも注意しています。語りが入るシーンは、これから盛り上がっていく手前なのか、テンションがグッと上がっているところなのか、いったん落ち着くところなのか――などを考えて、物語の流れの中に、できるだけスッとなじむように気を付けています」
その上で「このように、台本を読み込む時に自分なりにいろいろ考えて計画を立てていくのですが、収録では自分の考えをいったんすべて捨てて、映像から感じられるものを大事にして、語るようにしています」と一度は“無心”に。「というのも、上がってきた映像を見て気付かされることがたくさんあるんですね。戸田恵梨香さんはじめ、役者さんたちの表情はビックリするほど豊かで、それを見ることで私のナレーションも当然変わっていきます。読むタイミングや流れ、間の取り方、リズムなども、お芝居の流れを見ながら、役者の皆さんの素晴らしい演技の邪魔にならないように、気持ちのよい入り方を探っていくようにしています」と取り組み方を明かした。
今作については「このドラマは、現代ではあまり見られない貧しさの中で喜美子の物語がスタートします。今は“人生100年時代”と言われ、老後などに不安を抱えている人が多いと思いますが、喜美子はそんなことは全然考えていなくて、明日のごはんはどうしようか、どうやって生活しようか、ということだけを考えているんです。ここに、人生を生き抜く強さのヒントみたいなものがあると感じました。喜美子は9歳にして、既に自分を持っていると思います。意地や誇りをちゃんと持っているので、どんな困難にぶつかっても、その場その場で自分で考え、自分で答えを見つけていく。そんな彼女の姿に強いエネルギーを感じました」と共感。
「それから喜美子はいろんな人と出会い、いろんな気付きを重ねながら、自分で進むべき道をつかんでいきます。そんな彼女の生き生きとした力強い姿にこそ、この作品のオンリーワンの魅力があると感じています。私自身にも子どもがいますが、その子たちが喜美子を見てどんな反応をするのか、とても楽しみになりました」と期待している。
最後に「これまでいろいろな番組で学んできた、語りについての知識と技術はもちろん、子どもたちを育ててきた自分のこれまでの人生経験も含め、自分の持てるすべてをこの語りに注ぎ込んでまいります」と日本の朝を彩る決意を語り「そして、私自身もこの作品と一緒に、成長していきたいと思っているので、どうぞよろしくお願いいたします」と呼び掛けた。