「いだてん」井之脇海 最終聖火ランナー坂井義則役に感謝と重圧 走りにトラウマも来年東京五輪に“意欲”

2019年12月08日 06:00

芸能

「いだてん」井之脇海 最終聖火ランナー坂井義則役に感謝と重圧 走りにトラウマも来年東京五輪に“意欲”
大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」で1964年東京五輪開会式の最終聖火ランナー・坂井義則を演じる井之脇海(C)NHK Photo By 提供写真
 俳優の井之脇海(24)がNHK大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(日曜後8・00)で1964年東京五輪開会式の最終聖火ランナー・坂井義則を演じる。8日放送の第46話を含め、残り2話となった最終盤の重要な役を託され「とてもありがたいですが、物語の集大成のようなシーンを担うので、少しプレッシャーを感じています」と心境。来年の東京五輪については「聖火ランナーには興味がありますね。チャンスがあれば僕も関わりたい」と明かす井之脇に話を聞いた。
 歌舞伎俳優の中村勘九郎(38)と俳優の阿部サダヲ(49)がダブル主演を務める大河ドラマ58作目。2013年前期の連続テレビ小説「あまちゃん」で社会現象を巻き起こした脚本家の宮藤官九郎氏(49)が大河脚本に初挑戦し、オリジナル作品を手掛ける。20年の東京五輪を控え、テーマは「“東京”と“オリンピック”」。日本が五輪に初参加した1912年のストックホルム大会から64年の東京五輪まで、日本の激動の半世紀を描く。

 第46話は「炎のランナー」。いよいよ1964年(昭39)となり、聖火リレーの準備は大詰め。岩田(松坂桃李)は最終走者として、原爆投下の日に広島で生まれた青年(井之脇海)を提案するが、政府に忖度する組織委員会で反対に遭う。政府はアメリカの対日感情を刺激することを恐れていた。平和の祭典としての五輪を理想とする田畑(阿部)は解任以来初めて組織委員会に乗り込む。アメリカとどう向き合うべきか。外交官出身の平沢(星野源)が秘策を思いつく…という展開。

 井之脇が演じる坂井義則は1945年(昭20)8月6日、原子爆弾が投下された日に広島で生まれる。高校在学中に国民体育大会の陸上400メートルで優勝し、64年東京五輪を目指すが、代表選考会で敗退。田畑により、開会式の最終聖火ランナーに抜擢される。

 ――出演オファーがあった時の心境を教えてください。

 これまでに大河ドラマは「平清盛」(2012年)「おんな城主 直虎」(17年)に出演させていただきました。どちらも物語終盤の盛り上がる流れの中での出演でしたが、今回も1964年の東京オリンピックの最終聖火ランナーに抜擢されるという重要な役どころを頂き、とてもありがたいです。僕の登場シーンが物語の集大成のようなシーンを担うので、少しプレッシャーを感じています。脚本の宮藤さんの作品は、映画「中学生円山」(13年)以来2度目です。今回もそうですが、宮藤さんの脚本はクスッと笑えたり、心温まったり、一方で気持ちがえぐられるセリフがあるなど、やっぱりおもしろいなと感じます。

 ――演じる坂井義則さんのことはご存知でしたか?

 1964年の東京オリンピックの様子は、この役を頂く前からニュースやドキュメンタリーなどで知る機会があり、坂井義則さんの存在、そして原子爆弾が投下された1945年(昭20)の8月6日に広島で生まれた方ということも知っていました。そして、聖火台に登った時の笑顔がすごく印象的で、その役が来たことに驚きました。坂井さんはオリンピックへの出場を目指しながらも、代表選考会で敗退し、夢が叶わなかった陸上選手です。でも“たまたま原爆が投下された日に生まれた”という理由で聖火ランナーに選ばれるんですね。実際の坂井さんも、生前はその選考理由に葛藤があったことをインタビューで語っていたそうで、ドラマではその部分を膨らませて描いています。この作品を通して坂井さんの葛藤を知ることができたので、その気持ちをしっかり表現しなければいけないなと責任感が生まれています。それに、台本に描かれていない部分の生き様を上乗せできたら、もっと魅力的な人物になるのではと思っています。

 ――坂井さん以外の最終聖火ランナーについては?

 坂井さんが最終ランナーだったことは知っていましたが、最後の8人全員が戦後生まれの10代だったことは、この作品で初めて知りました。アスリートではない“普通の若い力”を見せつけることで、復興に強い意思やメッセージを込めていたんだと思いましたし、そういった史実をドラマを通して知っていただくことは意味があることだと思います。

 ――走る練習はいかがでしたか?

 ランニングの監修をしてくださっている金哲彦さんに、坂井さんのフォームに近づけるよう指導していただき、自分で走り込みをするなどトレーニングを積みました。実は小学生の頃は足が速くて、ちょっと大きな大会に出ることになったのですが、出場したらビリになっちゃって…。それがトラウマになってしまい、以来、走ることに苦手意識があって…(笑)。ですが、役作りのためにトレーニングを始めたところ、長い距離を走ってもバテないで走ることができています。もともと山登りが好きで体力には自信があったというのもあり、山に行けない時は街を走るのもいいなと思っています。

 ――2人の主人公、金栗四三(勘九郎)と田畑政治(阿部)の印象は?

 四三さんは真っすぐな男ですよね。得体の知れない力を持っている人だと感じていて、本人が意図しないところで人から支えられ、好かれているような人物だなと。そして、陸上をやっている坂井さんからしてみれば、夢だったオリンピックに3度も出場、日本陸上のパイオニア的存在なので、若さや未熟さを含めて同じ土俵に立てていないと感じたと思います。そうやって、坂井の壁として立ちはだかる四三さんですが、その壁を乗り越える方法を教えてくれるのも四三さんです。クライマックスに差し掛かる2人のシーンは僕も気合を入れて撮影しましたので、是非、見てほしいです。一方、田畑さんも真っすぐで破天荒な男。あそこまで熱いと鬱陶しいと思うかもしれませんが(笑)、でも「物事を動かす人というのは、こういう人なんだろうな」と思わせてくれる魅力的な人物だと思います。阿部サダヲさんが演じているからこそ、というところもあり、いちファンとして田畑を見ていました。阿部さんとは「直虎」でも共演していて、とても大好きな先輩です。

 ――来年2020年の東京五輪に期待していることはありますか?

 聖火ランナーとして走る役を頂いたからには、聖火ランナーには興味がありますね。チャンスがあれば僕も関わりたいですし、宮藤さんを筆頭に「いだてん」メンバーがその後を走るとか、どうですか(笑)。ランナーの発表は今年の12月以降とのことで、是非、関係者の方々、検討してみてほしいです。NHKの前だけを走る、とかでもいいです!(笑)
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