吉本興業 直営業ルール化へ 全6000人所属タレント「所属覚書」へのサインは年内に

2019年12月20日 13:10

芸能

吉本興業 直営業ルール化へ 全6000人所属タレント「所属覚書」へのサインは年内に
吉本興業「経営アドバイザリー委員会 中間取りまとめ」でブリーフィングを行った座長の心理学者で国際医療福祉大教授の川上和久氏 Photo By スポニチ
 吉本興業が闇営業問題に端を発する一連の騒動を受けて設置した「経営アドバイザリー委員会」の中間取りまとめの報告が行われ、20日、東京・新宿の吉本興業東京本部で、委員会座長の政治心理学者で国際医療福祉大教授の川上和久氏(62)が報道陣の取材に応じた。
 委員会では、反社会勢力の完全排除のために何か実行すべきか、所属タレントらとの契約に関して、コンプライアンス体制の検討とあり方、コーポレート・ガバナンスのあり方の大きく4つのテーマについて審議。8月8日の第1回会合を皮切りに、これまで4回の会合が行われている。

 反社的勢力の排除について、所属芸人による反社会勢力との接触を吉本側が承知していないことが、今回の闇営業と言われた事態の要因でもあるとし、直営業をルール化する方針を明らかにした。タレントは直営業の依頼が来た場合、報酬の有無にかかわらず、なるべく事前に吉本側に届け出を行い、吉本側で属性チェックを行い、問題がない場合にタレントが稼働し、その対価としての報酬は吉本を通じてタレントに支払うというもの。これは反社勢力との意図しない接触を避けるためでもあり、適正に税務申告をされない可能性も想定され、それらを解消するために新たに設けられるルールとなる。川上氏は「反社勢力との接触を吉本がこうやって防いでいるんだと自覚してもらって、タレントさん一人ひとりにその意識を徹底してもらいたい。タレントさんは不自由に感じるかもしれないが、これはタレントさんを守るためでもある。タレントさんを守るためにも直営業ルールを徹底してほしい」とした。

 「直営業ルール化」は事実上の直営業の禁止とも取れるが、「禁止ではありません」と川上氏。「吉本を通じない形で仕事は受けるが、ただ届け出をするだけ。そういうことで反社チェックができる。反社チェックのコストは吉本側が持つ。そういうコストがかかる分、直営業で受け取った10万円をそのまま払うか、コストを引いて払うかは、まだ取りまとめてはいないが、禁止ではなく、反社との接触、税務申告のこともある。もらってそのまま税務申告しないのは脱税。それらを避けるためにも、吉本を通じての仕事でないものを届け出てくださいということ」と説明した。

 吉本興業を巡っては、闇営業問題のほかにも、「チュートリアル」が徳井義実(44)が所得の申告漏れで活動自粛に追い込まれる騒動も起きている。ガバナンスの問題として、川上氏は「コンプライアンスの実効性には、教育体制だけでは不十分」だとし、「重要なのは現場。現場のマネジャーの負担も大変だとは思うが、日常の動きを見ていて、どうもおかしいんじゃないか、そういった異変に気付いて、対処する必要があるのではないかというこうことを敏感に察知して、会社に届け出をする体制は作ることも重要ではないか」と説明。「税務申告の問題を1つとっても、現場がちょっとおかしいなと思えば、すぐに会社に伝わり、会社からちゃんと大丈夫なのかと(確認できる)。税務申告することは当たり前、言うまでもないこと」と強調し、タレントだけでなく、社員への研修強化についても要望したという。

 また、従来、吉本はタレント側とは口頭契約で行っていたが、書面化を進めている。これまではコンプライアンス順守を主内容とした「共同確認書」へのサインを進める方針であるとしていたが、これに所属タレントであることを明確にする修正を加え、「所属覚書」と名称が変更。新たにスタートした専属マネジメント契約、専属エージェント契約でも所属覚書へのサインを行う形となる。現在、所属タレントに対し、契約説明会を実施しており、個別相談にも対応している。全6000人すべての所属タレントに対し、クラウドサインによるサインを進めており、年内にすべて終了する予定だという。

 また、6000人のタレントを所属させ、常設劇場等の設置運営コストを投資しながら、未来のスタータレントを日常的に育成する吉本のタレントマネジメントの特徴は維持されるべきだとしつつも、明確で透明性のある報酬設定「ギャラの取り分」は明示し、報酬の在り方をきちんと説明していく。コンプライアンス違反、契約違反があった場合の対応としては契約書でも基準・ルール化が契約書で明確化されるべきと提言がなされた。

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