ハラさん犠牲「指殺人」「悪プル」死に追いやった誹謗中傷“ネット強国”韓国が抱える闇
2019年12月22日 09:00
芸能
「職業格差が激しいとされる韓国で、若者の憧れの職業ナンバーワン」(同関係者)とされる芸能人は格好の標的だ。韓国の芸能事務所関係者は「韓国ではタレントは才色兼備、完全無欠、聖人君子であることを求められる」と話す。いったん、そこから逸脱してしまうとすぐに「悪プル」が殺到する。
10月に亡くなった歌手ソルリさん(享年25)は、14年にミュージシャンとの交際が発覚し、誹謗(ひぼう)中傷を受けるようになった。その後、社会への反抗を示す意味で奔放さを前面に出すようになったが、SNSにノーブラの写真を公開した際「雑巾みたいな女」「娼婦(しょうふ)」と過度なバッシングが相次ぐなどし、鬱(うつ)状態に追い込まれたとされる。
一方で、引退や活動休止も容易には許されない。韓国の芸能事務所は最大でタレント1人当たり1億円をかけ幼少期から芸の英才教育を施す。事務所が投資した分を取り戻すまでは、タレントは“滅私奉公”で働くことを求められる。韓国の芸能関係者は「現在は、公正取引委員会が認める最長の7年契約を求める事務所が大半。大成功すれば報酬は破格だが、契約更新まで待遇は改善せず、国内で配信チャート上位の曲を出した若手が、その年の月収2万6000円だったという話もある」と語る。
ただ、病的なストレスから芸能人を守ろうと「指殺人」への法規制が現実味を帯びてきた。悪質な書き込みを規制する通称「ソルリ法」の法案審議が韓国国会で発議された。聯合ニュースによると、匿名でのネット書き込みを禁止する「ネット実名制」を求める世論も高まっているという。同制度は07年にも実施されたが違憲と判断され廃止された経緯がある。韓国の闇にハラさんらの無念の死が一石を投じるか。