Hola!

2019年12月29日 07:30

芸能

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レイズの入団記者会見で笑顔の筒香。右はキャッシュ監督、左はニアンダーGM(AP) Photo By AP
 【我満晴朗 こう見えても新人類】MLBレイズ入りが決まった筒香嘉智外野手(28)の入団会見。スペイン語で「Pa’la calle vamos(パラ・カイエ、バモス=行ったー、ホームランだ)」とコメントし、つかみはOK!という記事を読んで感心した。
 メジャーリーグ言語といえば英語、という時代はとっくの昔に過ぎ去っている。どの球団も主軸を務めるのはラテン系選手だ。彼らとコミュニケーションをとらなければ仲間として認められにくい…そんな配慮があるのだろう。もちろんDeNAの同僚もそうだったし、ラミレス監督もベネズエラ出身だ(英語を話すけど)。中南米で開催されるウインターリーグでプレーした経験もいかし、冒頭の発言につながったのだと思っている。

 ところで、先のコメントのどの部分が「ホームラン」なのか? 辞書を引きながら解析してみた。

 最初のPa’laはPara laの省略形。paraは英語ならfor、to、byに相当する前置詞だ。laは女性名詞に付く定冠詞で、calleは道路。最後のvamosはir(行く)の直説法現在一人称複数形で、直訳すると「私たち、道路へ行く」だ。これが転じて「街の方に飛んでいったー!」的な意味となり、さらに意訳すると「場外ホームラン!」。スペイン語圏の野球中継で常用されている決まり文句とのことだ。

 結局「ホームラン」に相当する単語はない。筆者が資料として保管していた1992年バルセロナ五輪のメディアガイドによると、スペイン語でも「Home runs」と、なぜか複数形で表示されている。外来語としてそのまま使用するのがスマートということか。

 1995年にアマ野球のインターコンチネンタル杯をカバーするためキューバに2週間滞在したことがある。現地ではスペイン語の守備範囲が想像以上に広かったことに驚いた。地元キューバはもちろんメキシコ、ニカラグア、プエルトリコ、ドミニカ共和国、パナマ、コロンビア、ベネズエラ…。みんな公式言語はスペイン語だ。野球宗主国たる米国の英語を使用する国はアメリカ、カナダ、オーストラリアくらいで、なんだか少数派。むしろ日本語のほうがよく通じた。台湾の首脳陣や、日系人中心のブラジルを取材する際はかなり楽だった覚えがある。

 そう、野球イコール英語…そんな発想はもう古い。これからはスペイン語も必須だろう。日本のプロ野球だって、中米出身選手のいかに多いことか。

 考えてみればサッカーも英語圏の国・地域よりスペイン語国圏の方が圧倒的に多い。だから国際的な競技に発展したとも言える。

 野球だって、その可能性はあるはずだけど。道具にお金がかかりすぎるデメリットがあるとはいえ、一部地域だけの振興ではもったいないよね。(専門委員)
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