「麒麟がくる」長谷川博己 明智光秀は「今の時代に必要」既成概念打破へ「本能寺から逆算しないで」

2020年01月11日 08:00

芸能

「麒麟がくる」長谷川博己 明智光秀は「今の時代に必要」既成概念打破へ「本能寺から逆算しないで」
大河ドラマ「麒麟がくる」の主演を務め、明智光秀を演じる長谷川博己(C)NHK Photo By 提供写真
 【「麒麟がくる」長谷川博己インタビュー 】 19日にスタートするNHK大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜後8・00)。大河としては初めて智将・明智光秀を主役とし、その謎めいた半生に光を当てる。主演を務めるのは俳優の長谷川博己(42)。目前に迫った初回放送を前に、今作への抱負を語った。
 大河主演は今回が初めて。「座長として全体を見通しておかないといけないですね」と重責も感じている様子だが、「一つのキャラクターを一年間演じるという経験ができるのは大河ドラマだけ。そこで主役を務められるのは役者冥利に尽きます」と充実感たっぷりだ。

 今作は池端俊策氏(74)によるオリジナル脚本。光秀を演じるにあたり、その人物像に迫ろうとしたが「調べれば調べるほど分からなくなった」と振り返る。

 「光秀についていろいろな説があって、またそれを否定する説もあって…。なので、そうしたものを現場に持ち込まず、池端さんの脚本の中の光秀を演じようと決めました。最初はどうしても“光秀はこういう人間だろう”と逆算してしまいそうになりましたけど、そうしたことを一切考えずに演じた方がしっくりきましたね。『麒麟がくる』という作品の中で明智光秀像をつくりたい、という気持ちで臨めています」

 過去にも池端氏が脚本を手掛けた同局土曜ドラマ「夏目漱石の妻」(16年放送)に夏目漱石役で出演している。「池端脚本」の魅力を「本当に繊細で、白黒はっきりしていなくて色合いがあいまい。“筆が踊っている”という感じがします」と語る。

 一方、池端氏も「俳優・長谷川博己」の印象について同じ「繊細」という言葉を用いて表現する。「夏目漱石を演じていただいた時に、とても素敵な俳優さんだなと思ったんです。非常に繊細で、誠実で、優しさがあって。でも、どこか殺気のような緊張感もあるんです。そうしたところが、透明感と緊張感を持って時代を駆け上っていく光秀の人物像と簡単につながりました。“やっぱりこの役は長谷川さんだ”と思いましたね」。

 多くの日本人に「本能寺の変で主君の織田信長を討った人物」というイメージが定着している光秀。そこで池端氏は「明智光秀が織田信長を討ったという劇的な事件は、江戸時代の思考によって逆臣による反乱劇というレッテルを貼られ、その印象が後世にまで残り光秀像が作られてしまいました。しかし、光の当て方により、光秀には別の顔があったのではないか、本能寺の一件は光秀と信長の関係を見直すことにより意味合いが一変し、歴史の転換点として深い意義を持つのではないか」と今作のキーポイントを説明している。

 昨年6月のクランクインから半年以上が経過。池端氏の描いた光秀の人物像に魅了された長谷川は「違和感を感じる人がいるかもしれないですけど、光秀は今の時代に必要なヒーローなのかもしれません」と語る。

 「上司にズバっと正直な意見を言い、知性と品性で突き進む人物は今の世の中にいたらいいですよね。池端先生もおっしゃっていたのですが、本能寺の変を起こした明智光秀から逆算して考えてほしくない。僕もそこは考えずに演じています。美濃という自分の国を守りたいという気持ちや、自分の血筋を大事にしたいという気持ちは現代の人間と同じだと思います。さらに光秀は尾張、堺などに行って、それらの場所も守ろうとする。それは、私たちが今の日本を守りたいと思う気持ちと同じだと思います」。

 来週日曜日に迫った“出陣”の時。「昔の大河ドラマのような王道さもありながら、新しさもあり、現代性も感じられるような作品になっています。“なぜ今、明智光秀のドラマが必要なのか”ということも分かってもらえるはずです」と自信をのぞかせ、「現代の人たちに、令和の戦国大河ドラマをお見せできればと思っています」と熱く語った。
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