広瀬八段 1勝1敗に“攻めの渡辺王将”のお株奪う猛攻 王将戦第2局
2020年01月27日 05:30
芸能
1日目の59手目▲1五歩に広瀬自身「自己最長かも」とする2時間42分。ところが2日目昼食休憩前には残り時間が広瀬2時間38分、渡辺2時間42分と接近し形勢も逆転した。
昼食休憩時、広瀬は「苦労する終盤戦。攻めが細いので切れないようにしたい」となお慎重だったが、終局後は「(77手目▲1一角成と)馬をつくって(79手目で)香を3四に打って、簡単には切れない」と分析。攻め将棋の渡辺を攻めまくる、最短距離の寄せで投了へ追い込んだ。
対局場検分があった24日、広瀬は開催地へ贈る恒例の揮毫(きごう)を「新」とした。昨年12月、豊島将之名人(29)に1勝4敗で竜王を奪われ、年明けからは公式戦5連敗。「32歳の一年はいろんなことがあった。33歳は心機一転で臨みたい」。今月18日に誕生日を迎え、漢字一文字に示した決意を早速実らせた。「明るい材料にしたい。改めて5番勝負になったので、3局目以降も頑張りたい」と前を向いた。
羽生善治九段(49)ら羽生世代の棋士を倒して通算タイトル23期の渡辺は、年下とのタイトル戦でも6戦全勝。広瀬自身、昨年の棋王戦5番勝負は1勝3敗で屈した。棋界の勢力図は3冠の渡辺、豊島の2トップに永瀬拓矢2冠(27)が続く。同世代の広瀬がタイトルホルダー復帰への第一歩をしるした。
▼広瀬章人八段 ▲6二銀と打った局面が、自分の中では少し勝っているという読みだったので決断した。凄く難しい受けの手がなければ、と思っていた。
▼渡辺明王将 封じ手の次のところで一晩迷って、結果的にまずい方を選んでしまったのが残念。
《高槻市歓迎ムード》2年連続の王将戦の舞台となった高槻市。アマ初段の腕前を持つ浜田剛史市長が取材本部を訪れ「地方自治体には将棋文化を守る責務がある。タイトル戦開催は一つの方法」と力説した。市営バスの行き先案内板に「☆歓迎☆王将戦」と表示されるなど、ウエルカムムード一色だった。