広瀬八段、連勝王手!先行許すも頑強受けで耐えきった
2020年03月07日 05:30
芸能
125手目▲2五香で渡辺が、134手目△8八銀で広瀬が今期初、両者1分将棋へ突入。正座の前傾姿勢が深くなり、特に渡辺は将棋盤に覆いかぶさるほど読みに没頭した。控室での形勢判断の針が広瀬へ傾きだしたのは、広瀬王が渡辺の追っ手をかいくぐり五段目へ進出した150手目。渡辺の前傾姿勢が元に直り、間もなく静かに投了を告げた。
「(2日目に)形勢を悪くした。指し方が下手だったのかな」。広瀬は喜びより非勢を語り勝利を確信できたのは156手目△3八王と敵陣深く進入して詰みのないことを確認できてからと明かした。
一昨年末の竜王以来となるタイトル奪取への執念が、勝利をたぐり寄せた。92手目△8二飛(第1図)。▲2四歩と王頭に火が付いてもさらに構わず△6三歩。飛車の横利きを通す辛抱を結実させた。攻め将棋の広瀬が受けて受けてつかみとった今期初のブレーク。後手番での勝利で通算3期目のタイトルへにじり寄った。
過去68期の王将戦7番勝負で第5局を2勝2敗のタイで迎えたのは15期ある。改めて3番勝負となり、第5局を勝った側がシリーズを制したのは9期。つまり勝率6割。近いようで遠いあと1勝とも言えそうだ。
「次局へ向けてしっかり準備したい」と広瀬。決戦は1週間後だ。
▼広瀬章人八段 先に香車を1枚得したがしばらく指したら形勢が悪くなってしまった。最後は際どい場面がたくさんあり、▲2八歩に△3八王とかわして詰まないような気がした。
▼渡辺明王将 寄せの方針がちぐはぐだった。受けるなら受ける、攻めるなら攻めるとはっきりさせるべきで終盤は中途半端な指し方をしてしまった。(第6局が)来週すぐあるので最後まで精いっぱい頑張りたい。