宇梶剛士「半沢直樹」東田役は今なお反響「“本物”は違いますよね」当たり役との距離感「喜んだら…」
2020年03月10日 10:00
芸能
今回のラジオドラマは、半沢の倍返しを食らった敗者にスポットを照らすオリジナルストーリー。テレビ東京「ゴッドタン」や昨年10月期のTBS日曜劇場「グランメゾン東京」のスピンオフ「グラグラメゾン東京~平古祥平の揺れる思い」などで知られる人気構成作家のオークラ氏(46)らが脚本を手掛ける。
TBSラジオ「ACTION」(月~金曜後3・30)内で毎週火曜午後4時10分頃から放送される全4章(全8話、各話約10分)。2月11日にスタートし、第1章(第1話、第2話)には東京中央銀行大阪西支店元支店長・浅野匡役の石丸幹二(54)と妻・利恵役の中島ひろ子(49)、第2章(第3話、第4話)には東京中央銀行元人事部次長・小木曽忠生役の緋田康人(56)、小木曽の出向先の部下・竹内遥役の笹本玲奈(34)が登場した。
宇梶が演じた西大阪スチールの社長・東田は浅野支店長(石丸)と手を組み、5億円の融資を受けた後、計画倒産を決行。見返りを浅野に渡し、自身は多額の隠し財産を作り、逃走した。しかし、この一件の全責任を押し付けられた半沢の反撃に遭い、ついに隠し資産を差し押さえられる。最後は剣道有段者の半沢にあっけなく返り討ちにされ、見事なまでに倍返しを食らい、敗れし者の1人となった。
壇蜜が演じた藤沢未樹は、東田の愛人。計画倒産による隠し財産で自身のネイル店をオープンすることを夢見ていた。しかし、東田は金がすべてで自分への愛情がないことを知ると、出店を事業として正当に評価してくれた半沢のバンカーとしての姿勢に心が動く。隠し財産の在処をバラし、東田を裏切った。壇蜜は、東田への愛と半沢の正義との間で揺れる難役を好演。女優としてステップアップした。
2月中旬に収録を行った宇梶は、7年ぶりの東田役に「そんなに経ちました?」と時の流れを実感。そのヒールぶりはインパクト大。で、当時はもちろん、今回のラジオ収録の数日前にも初対面の人に「やっぱり、ああいう性格なんですよね?“本物”は違いますよね」と言われたといい、元暴走族だった宇梶は「いやいやいや(笑)。先輩にああいう人が何人もいて、参考にして演じたんですよ、と(笑)。役者としては、その役に見られるのはありがたいですけどね」と反響の大きさを明かした。
プライベートは愛妻家で、犬好きの宇梶。それを知る壇蜜は「銭湯やプール教室で一緒になる人も、役のイメージで宇梶さんのことを言う人が意外と多いんですよね。マダムたちの(宇梶に対する)印象は、私が少しずつ変えているので、大丈夫です」。宇梶は「主役の人は世の中を相手にしないといけない部分もありますが、バイプレーヤーはそれよりも、一緒に作品を作る人たちに理解してもらっていればいいので。世の中によく思われたいという気持ちは人としてありますが、役者ですからね。でも、いいイメージを広めておいたと言われると、うれしくなります。ありがとう~、みっちゃん」と柔和な笑みを浮かべた。
7年前のドラマ前半の敵役。最後は元剣道部の半沢に「ゴルフクラブでめった打ちにされて。友達は喜んでいましたね。『おまえ、意外と弱いな』と(笑)」。特に印象に残るのはロケ地だと振り返った。
「東田は逃亡していましたが、ロケで借りたのが、もの凄い豪邸ばかりで。かつて誰かがもの凄いお金をかけて建てて、そこにも生活があったわけじゃないですか。『兵どもが夢の跡』みたいなところを転々としている、そういうロケーションと、逃亡している役の設定がシンクロしたことを覚えています」
音問別農協の組合長を演じた昨年のNHK連続テレビ小説「なつぞら」をはじめ、数々のドラマや映画に出演し“七変化”。その多彩なキャリアにあって「『半沢直樹』ことは当時も、今も言われることが多いんですが、特別な感情は抱かないようにしているんです。もちろん、言われた瞬間は『ありがとうございます』の気持ちですが、喜んだら、忘れてフラットに。そうじゃないと、いつまでも昔のことで威張っているヤツみたいで、そうはなりたくない。前に惚れた女性を思いながら次の恋をするみたいで、次の役にも失礼ですしね」と“当たり役”との向き合い方、距離感を語った。
壇蜜とは7年ぶりの共演とは思えない息ピッタリのコンビぶり。宇梶は「東田の“その後”の人生が描かれるとは全く想像していませんでしたが、今回の話を頂いた時は『やるしかない』という気持ちになりました。怒りや悔しさに心を支配されていた東田を支えてくれた未樹の愛情の深さを改めて知ることができました。東田と未樹の“その後”の人生を、多くの方に楽しんでもらいたいと思います」とアピールした。
ラジオやradikoに加え、没入感あふれる音声コンテンツ「AudioMovie」でもストリーミング配信。TBSラジオは「オリジナルオーディオドラマ」と銘打っている。