志村けんさん 兄に遺骨を抱えられ実家に「残念です」 遺族も立ち会えずたった一人で荼毘に付され…
2020年04月01日 05:30
芸能
葬儀業者の車で運ばれて実家に戻った志村さん。知之さんは両手で袋を大事そうに抱え「やむを得ない。残念です」と険しい顔で絞り出した。
治療法も確立されていない、未知の新型コロナウイルスに志村さんは倒れた。病室で最期をみとることもできなかった遺族は火葬にも立ち会えず、知之さんは「顔を見ることもできなかった」と悲痛な表情を浮かべた。志村さんとは2月25日に古希の誕生会で顔を合わせて以降、入院後も見舞いに行けず、亡くなったことも事務所の電話で知った。
厚労省は、新型コロナウイルスで亡くなった遺体からの感染を防ぐため、遺体全体を非透過性の袋で密封し、極力そのままの状態で火葬するよう指導している。同省は「遺族が直接遺体に触れたい場合には手袋などを着用すれば可能」としているが、関係者によると感染拡大の可能性を鑑みて、慎重な対応を取ったとみられる。
知之さんは志村さんにお別れをするため、妻のサヨ子さん(69)と息子2人、弟夫婦とともにこの日午後、遺体が安置される都内の病院へ向かった。
到着した時、志村さんはすでに、病院の安置室で棺に入れられており「顔は見えなかった」。棺に思い出の品を入れることもかなわなかったが「よく頑張ったね」と声を掛けたという。
火葬は斎場の時間外に行われ、親族も友人も誰もおらず、葬儀業者だけが立ち会う中、志村さんは一人で旅立った。知之さんは業者から遺骨を受け取った時の気持ちを聞かれると、1秒ほど黙り込み「…重いね。あったかい」とポツリ。渦巻く感情を押し殺すように、目を伏せた。
最後まで遺骨を大事そうに抱え「これから祭壇に飾ります」と知之さん。お別れの会はコロナ禍の中にあるため、落ち着いた時期を見て行いたいと改めて語った。約10年前に撮影した、笑顔の写真を遺影として準備したと寂しげに笑いながら「皆さんに、感染すると怖いと自覚を持っていただければ」と言い残し、自宅へ戻った。