ニッポン放送から流れる笑福亭鶴光の声に癒やされる
2020年04月23日 14:00
芸能
鶴光と言えば、1974年から85年まで放送された「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」。私がよく聞いたのは小学校の高学年から中学生にかけてで、土曜の深夜、両親が寝静まった後、自室にこもり、1人でひっそりと楽しんだものだった。子供心に、鶴光が発する艶っぽいトークが刺激的で、特にムード満点の「ミッドナイトストーリー」という深夜ラジオならではのコーナーが印象に残っている。
「噂のゴールデンリクエスト」ではこの「ミッドナイトストーリー」を再現。鶴光が番組の終盤で、ゴールデンタイムとしては異色のお色気たっぷりの声でコーナーを盛り上げている。外出自粛で陰鬱(いんうつ)な空気が漂う中、一服の清涼剤のようなおもむきがあり、ネットにも「待ってました!」「ニヤニヤが止まらない」など、歓迎の言葉が並んだ。
スタジオのコロナウイルス感染拡大防止策は万全。鶴光とアシスタントの田中美和子の間には透明のアクリル板が設置され、さらに壁には紫外線照射殺菌装置「エアロシールド」が取り付けられている。厳戒態勢下での癒やしムードたっぷりの生放送。鶴光はリスナーに「在宅中のあなたに笑顔になっていただいて、免疫力をつけていただきたい」と語りかける。
2011年の東日本大震災の際、ラジオは人々の生活に寄り添い、力を発揮した。今度の厳しい局面でも、ラジオが私たちを励ましてくれるに違いない。
◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在はNHKなど放送局を担当。