ドラマ「行列の女神」 黒島結菜の弾けっぷりが愉快
2020年04月28日 12:30
芸能
この汐見ゆとりのキャラクターがとてもユニーク。周囲の空気を全く読まず、言いたい放題、やりたい放題。黒島の本来の、思慮深く、奥ゆかしいイメージとは大きくかけ離れている。
既に最終回まで撮影を終えた黒島は「弾けたお芝居は今までにもありましたが、初めの頃のゆとりは、さらに、一方通行で、から回っているような子だったので、難しかったです」と明かす。
その大きな弾けっぷりが、見ている人にとって愉快。27日放送の第2話で面白かったのは、ゆとりが職場でコピーをとりながら、童謡「どんぐりころころ」の替え歌を歌う場面。上司や先輩への迷惑も省みず、♪ドンブリ 山盛り ラーメンの スープにはまって さあ食べよう…と楽しそうに歌っていると、帰社した社長(鈴木京香)に「バカ歌聞かせるのやめてくれない!」と一喝される。まるで漫才のボケとツッコミのようなシーン。黒島は「歌は得意ではないです」と話すが、ほどよく調子を外した歌い方が笑いを誘った。
私が初めて黒島をインタビューしたのは2015年。黒島がNHK大河ドラマ「花燃ゆ」で、高杉晋作の妻・雅を演じた時だった。その時の黒島も汐見ゆとりのキャラとは全く異なり、控えめで言葉少な。将来の目標として「自然なお芝居ができる女優さんになりたい」と静かに話していた。当時18歳だったが、演技がしっかりしていて、この女優はいずれ人気を得るだろうと思ったものだ。
その後の活躍は周知の通りで、17年にNHKドラマ「アシガール」(現在、再放送中)に主演。昨年はNHK大河ドラマ「いだてん」、NHK連続テレビ小説「スカーレット」に出演するなど、着実に成長する姿を見せている。
そして、「行列の女神」での弾けっぷり。女優としてまた一歩前進したことは間違いない。今後はどんな道を歩んでいくのか。黒島は「『できる、できない』ではなく、いろいろなことに挑戦していきたい。やってみることが大事なのかなと思っています」と語る。その思い通り、さらに演技の幅、活躍の場を広げていくことになるだろう。
◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在はNHKなど放送局を担当。