志村さん初主演映画代役に沢田研二 親交40年超「やり遂げる」 山田洋二監督「完成させることが供養」
2020年05月16日 05:31
芸能
山田監督のショックも大きく「言葉を失うほどの衝撃」と言うのが精いっぱい。政府による緊急事態宣言も出て、代役選びも進まなかったが、「完成させることが志村さんへの供養になる」と再始動を決めた。
バトンを託されたのが、同世代で、40年を超える親交があった沢田だ。かつては志村さんと同じ事務所に所属し、TBS「8時だョ!全員集合」やフジ「ドリフ大爆笑」にゲスト出演。ヒゲダンスなどでお茶の間を沸かせた。01年からはラジオ番組「ジュリけん」でジョイント。03年夏には久世光彦氏演出の舞台「さあ、殺せ!」で共演している。
二枚目スターと天下のコメディアン。若き日の志村さんがジュリーに扮装して披露したコントは「似ている」と評判を呼んだ。オファーを快諾した沢田は「志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です」と意欲満々。志村さんが所属したイザワオフィスの井澤健社長も「長年親交のあった沢田研二さんがご出演されると聞き、志村けんも大変喜んでいると思います」と期待をにじませた。
作品は映画を介して壊れかけた家族が再生していく姿を描く。房俊介プロデューサーは「山田監督は“沢田さんならば、別なゴウちゃん(主人公)の魅力を引き出してくれると確信しています”と話している」と監督の言葉を代弁した。
《来年公開へ 菅田将暉と“2人1役者”》「キネマの神様」は原田マハさんの同名小説が原作。映画とギャンブルが大好きなダメ親父のゴウが主人公で、若き日を菅田将暉(27)が演じ、ダブル主演で“2人1役”に挑む。沢田の映画出演は06年の「幸福のスイッチ」以来14年ぶり。山田作品となれば82年「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」以来38年ぶりとなる。当初は松竹映画100周年記念として12月公開を予定したが、コロナ禍の影響で延期。撮影再開はなお見通せないが、来年の公開を目指す。
《コロナ闘病も…力尽く》志村さんは3月17日に倦怠(けんたい)感を訴え、19日に発熱、呼吸困難の症状が出た。20日に救急搬送された都内の病院で重度の肺炎と診断され入院。23日にコロナ感染が判明した。その後、別の病院で人工心肺装置(ECMO)による治療を受けたが、29日深夜に帰らぬ人となった。感染予防の面から兄・知之さんら家族もみとることができず、死後も対面できないまま荼毘(だび)に付された。