藤井七段、最年少タイトルなるか 8日棋聖戦開幕、谷川九段「五分五分」重圧大きいのは渡辺棋聖か
2020年06月08日 05:30
芸能
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話題の尽きない好カードだが、谷川は「五分五分」と読み解く。プレッシャーについては受けて立つ渡辺に大きいとして「アウェーの雰囲気で戦うことになる」と語った。一方で藤井が2勝し、奪取へ王手をかけた後は「自分との戦いになる。眠れなくなったりするかもしれない」。歴代4位、タイトル獲得27期のベテランは自身の経験を顧みて分析し、17歳が立つ高みに思いをはせた。
渡辺とはA級順位戦で1勝3敗、藤井には昨年9月の王将戦2次予選で敗れ、「とても落ち着いて指されていた」。出会いは小学2年の指導対局。勝ちが濃厚になった谷川が引き分けを提案すると、藤井が号泣したエピソードで知られる。
藤井が挑戦権をつかんだ4日の永瀬拓矢2冠=叡王・王座=戦。「一気に終盤へ突入しそうなところでギアを緩める技術。プロでも実は身に付けている人は少なくて、羽生さんを見るようでした」。優勢で進めても寄せへの道筋が見えなければ一度腰を落として再構築する柔軟性。17歳にして羽生善治九段を思わせる技巧に魅了された。取材中、「彼が高校生であるとみんな忘れてしまっている」と苦笑いする場面もあった。
渡辺の強みとして挙げるのはタイトル戦での強さ。33度出場して25期獲得は獲得期数トップ3、99期の羽生、80期の故大山康晴十五世名人、64期の中原誠十六世名人の勝率を上回る。「渡辺さんには経験がある。藤井さんは今一番強いタイトルホルダーにあたった」と指摘した。
渡辺のタイトル初挑戦は03年王座戦で羽生に挑んだ。5番勝負は渡辺が2勝1敗の王手から連敗し、敗退した。羽生は将来自らを脅かすだろう存在をひとまず退けられた手応えからか、第5局で勝ちを確信した際に着手が震えて駒が乱れた。渡辺は今回立場を変えて、勝って当然と見られかねない挑戦を受ける。谷川は「そういうことをプラスと捉えられるかどうか。(藤井と)10年20年と戦うのですから」と解説した。新たなステージへ突入する棋士人生にモチベーションを見いだせれば防衛に近づく。
▽過去の渡辺VS藤井 昨年2月16日、東京・有楽町朝日ホールで開催された朝日杯オープン戦決勝。連覇がかかる藤井の後手で、戦型は雁木(がんぎ)。中盤渡辺に攻め合う手順があったが、そこを逃してからは藤井が攻勢に。128手で渡辺が投了した。