テレ東「無観客フェス」で“大人の性教育”「シナぷしゅ」工藤プロデューサーが込めた思い
2020年06月30日 08:00
芸能
8歳になる息子をもつ母親でもある工藤氏。「以前から性教育には興味がありました。どうやって子どもができるかなど、性ついて子どもにどう教えたらいいんだろうと考えたことがあったんです。そんな時期に、SHELLYさんが『性教育』について有識者の方や子をもつお母さんたちと座談会をしている記事を雑誌で読んで“みんなこうやって教えているんだ”と知ったんです」と振り返る。
そうした中で「新型コロナ禍で未成年の妊娠相談が急増している」という現実を宋美玄氏から伝えられる。「学校で教えてくれないから知識もない。性に関する知識を持っていない人は意外と多い」と痛感したことが企画の“原点”となった。
「#MeToo(性暴力被害者支援のスローガン)もそうですし、ジェンダーの話もそうですし、有象無象に性の問題がうごめいている。これは皆で向き合わなきゃいけないと思ったんです。性に関する問題はコロナのように目の前に迫った危険ではないので、みんな“うやむや”にしながら先延ばしにしてきたような気がします。でも今は、コロナの影響で家で過ごすことが増え、本質的なことに向き合うことができる時間がある。先延ばしにしていた“必須科目”をやるなら今しかないと思いました」
バラエティー番組で人気のSHELLY、ゆきぽよも登場する今回の企画だが「性についての考えを無理やり変えたいわけではない」と強調する。「こういう考えがあるよということを、女性にも、男性にも知ってもらうためのイベントです。モヤモヤを抱えていたのは自分だけじゃなかったということを知ってもらい、『NO』と声を出すきっかけになればと思っています。パワハラ問題と同様に、生理、出産の大変さを肯定するために『我慢を無意識に美化』している人もいるはずです。いろいろな世代、いろいろなバックグラウンドの出演者が語ることによって、聞いた事のない考えを知ってもらえたらうれしいです」と企画に込めた思いを明かす。
工藤氏は民放初の「赤ちゃん向け番組」として制作された「シナぷしゅ」のプロデューサーを務めている。「世の中を良くしたい!という大それたことは考えていませんが、世の中を生きやすくしたいなとは思っています。戦争をなくしたり、格差をなくしたりといったことは難しいですが、世の中の人がちょっとだけ生きやすくすることにエンターテインメントも手助けできるのではないかと考えています。それに、テレビ局は影響力がありますが、裏を返せば一瞬にして人の人生を台無しにもしてしまう。だから、大きな声を上げられない人たちにこそ寄り添うべきだと思っています。声を上げられない人たちが決していつも正しいというわけではありませんが、それを常に意識して番組をつくることを心がけています」と番組制作の信念を語った。