NHK-FM「ディスカバー・ビートルズ」(上) 日曜夜の愉楽のひととき
2020年07月01日 13:30
芸能
杉がスタジオでギターを弾いて曲の解説を行う場面もある。例えば、ジョンの「アイル・ビー・バック」のイントロ。杉は「今回、発見したことがある」と告げ、同じアルバムに収められているポールの「アンド・アイ・ラヴ・ハー」のイントロも弾いて2曲の類似性を実証。「ビートルズは一つの発想をジョンとポールが違う形にする」と指摘した。なるほど、言われてみれば、ジョンの「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」とポールの「ペニー・レイン」も同じアルバムで、同じように故郷の街を歌う発想から生まれている。とても興味深い分析だ。
この番組は、昨年、マイケル・ジャクソンを1年かけて特集したディスカバー・シリーズの第2弾として今年4月に始まった。プロデューサーの中田淳子氏は「今年はビートルズが解散してから50年。ビートルズはファンが多く、いろんな意見があるので、なかなか難しいと思ったけれど、やってみようと考えました」と話す。
DJはビートルズに精通する杉とTRICERATOPS・和田唱(原則として最終週に出演)。杉は出演依頼を受けた当時のことを振り返り「大変だなと思いました。ビートルズのファンには、うるさ型がいるじゃないですか!?僕だって、ビートルズの全てを知ってるわけじゃないですから。知った気になっているところを、もう一度、突き詰めてみようと思いました」と話す。
番組ではデビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」(1963年)からラストアルバム「レット・イット・ビー」(1970年)までを順次特集。毎回、アルバムのA面とB面の片面分の曲を紹介して解説しており、次回の7月5日は4枚目のアルバム「ビートルズ・フォー・セール」(64年)のA面となる。
リスナーは10代から70代までと幅広く、中田氏は「マニアの人も満足できて、あまり知らない人も楽しめる番組」と説明。杉は「ビートルズの音楽自体が、何度聞いても、初めて聞いても楽しい」と語る。
日曜夜の愉楽のひとときはまだまだ続く。(つづく)
◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。