ウルトラマンZと戦うゴモラの強い生命力
2020年07月03日 12:30
芸能
身長40メートル、体重2万トン。顔の左右に伸びる侍のかぶとのような角、胸部から下半身にかけてのデコボコした皮膚、異様に長い尻尾が特徴。当時の日本は1970年の万国博覧会(大阪)を控えており、ゴモラを生け捕りにして万博に出品しようというストーリーだった。
ゴモラは強かった。ウルトラマンは基本的に1話完結で、初回から第25話までは必ず最後に怪獣、宇宙人を倒していたが、この第26話で初の未決着。第27話で勝ったものの、ゴモラは大阪城を無残に破壊するなど強烈な印象を残した。
ゴモラの姿形を考えたのはデザイナーの成田亨さんだった。成田さんは66年に放送された「ウルトラQ」の途中から怪獣のデザインを担当し、ウルトラマンでは主人公をはじめゴモラやバルタン星人、レッドキング、ゼットンなどを生み出した。デザインの原則は①独創性②化け物、妖怪的なものにはしない③生理的に不快なものは避ける、の三つで、それが生命力の強いキャラクターの礎となった。
ゴモラはこれまでウルトラマンシリーズにたびたび登場。2007年から08年にかけて放送された「ウルトラギャラクシー大怪獣バトル」では主人公的な役割を果たし、最近では2018年の「ウルトラマンR/B」に姿を見せた。
その人気を裏付けたのは、16年に放送されたNHK・BSプレミアムのウルトラマン50周年特番。視聴者投票の「ウルトラ怪獣人気No・1決定トーナメント」でバルタン星人やゼットン、キングジョーを破り、1位に輝いた。
そして、4日放送の「ウルトラマンZ」。トンネル工事中の山で眠っていたところ、無人島に輸送されそうになるが、目を覚まして大暴れするというストーリーだ。
この「ウルトラマンZ」の初回にはウルトラQのゴメス、第2話にはウルトラマンのネロンガも登場した。なかなかオールドファンの心をくすぐる怪獣キャスティングだ。こうなったら、バルタン星人やゼットンなども見たい。
とにもかくにも、誕生から半世紀以上たった今でも重宝されるキャラクターの生命力の強さに感心するばかりだ。
◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。