「藤井新棋聖」誕生!17歳11カ月、最年少初タイトル!コロナ禍も糧に“天下布武”への第一歩
2020年07月17日 05:30
芸能
札幌市で行われた王位戦第2局から中1日のハードスケジュール。相手が先手番で決して楽な戦いではなかった。渡辺が選んだ戦法は第1局、第2局と立て続けに敗れた矢倉。得意戦法とはいえ、この選択だけでも“何かある”という気配を漂わせていた。藤井はあえて誘いに乗ったが、中盤に劣勢に陥ってしまった。
終盤まで飛車・角という大駒の両輪を活用できず、徐々にリードを広げられる。ただ、ここで粘って、渡辺の読み筋にない手を連発して形勢を逆転。敗れた渡辺に「凄い人が出てきたなという感じ」と脱帽させた。
会見で取材陣を感心させたのは新型コロナウイルスに触れた部分だった。4月10日を最後に対局から遠ざかった2カ月間を「自分の将棋と向き合うことができた。現状の自分を改善しようと(勉強を)やってました」と、コロナ禍でさえ自身の糧にしたことを明かした。
2016年10月のプロ入りから、3年9カ月でのタイトル獲得。晴れて冠保持者の仲間入りしただけでなく、1日に開幕した王位戦7番勝負で木村一基王位(47)に現在2連勝中だ。さらに決勝トーナメント入りを決めた竜王戦、挑戦者決定リーグ入りを決めている王将戦を加えた最大4冠を今年度中に手中にできる可能性がある。
かつて本紙の取材に、自らを例える戦国武将として、地元が生んだ英雄「織田信長」を挙げた。「信長になりたいですね。常識にとらわれずに将棋に向かっていきたい。革新的なところに引かれます」。獲得した棋聖は“天下布武”への第一歩。羽生善治九段が達成した7冠制覇を超える全8冠奪取が期待される。
新型コロナ感染拡大や豪雨災害などで沈む列島に、明るいニュースをもたらした。5歳で始めた12年間の将棋人生はまだ「序章」。「タイトルホルダーとしてしっかりした将棋をお見せしなければいけない」。進化を続ける高校生棋士は無限の可能性を感じさせる。(窪田 信)
◆藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身の17歳。杉本昌隆八段門下。5歳で将棋を始め、小4で奨励会入会。16年10月に史上5人目の中学生、最年少14歳2カ月でプロ入り。名古屋大付高3年。18年に瀬戸市民栄誉賞を第1号として受賞。
▼日本将棋連盟・佐藤康光会長 史上最年少での初タイトル獲得、誠におめでとうございます。見事な内容でした。藤井新棋聖はさまざまな記録を打ち立てていますが、これは破られることはないのではと感じます。ますますのご活躍を祈念いたします。