小田和正 新曲「風を待って」に込めた思い
2020年07月30日 12:20
芸能
流れているのは30秒バージョン。♪今は戻らないから 大切なんじゃなくて 今を重ねて 明日へ つながっていくから…と、小田が温かく優しい声で歌っている。これまで同社のCMで使われて来た「言葉にできない」「たしかなこと」「愛になる」と比べるとポップな感じで、より元気づけられる印象だ。
小田は昨年、ツアーとその追加公演を開催。さらに3月にTBSの音楽特番「風のようにうたが流れていた」、12月には同局の恒例特番「クリスマスの約束」に出演。年間を通じて多忙だったため、新曲作りの時間を生み出すのが難しかった。
明治安田生命に依頼されていた新曲に着手したのは昨年の暮れ。年が明けて曲の構想は固まったものの、歌詞作りを始めた頃、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、自宅待機を余儀なくされた。
曲を完成させるまでに費やした時間はおよそ半年。もともと小田は締め切り間際まで曲作りをするタイプだが、今回はコロナ禍の影響で締め切りが設けられなかったため、結果的に、これまでの音楽活動の中で最も長い時間、曲と向かい合う形になった。
完成した「風を待って」は、実は当初の構想より曲のテンポが早くなっている。今は多くの人たちがコロナ禍で厳しい生活を強いられている日々。関係者は「遅いテンポの曲だと、沈んだ気持ちにさせてしまうので、希望を持ってもらえるような表現に変えた」と明かす。
小田自身も前向きになる。みんなにも希望を持ってもらいたい。それが、この曲に込めた思いのようだ。
サビのコーラスも、聞いている人たちを励ますような雰囲気。名前は公表されないが、実は8人の有名アーティストが小田のボーカルの裏で歌っている。関係者によると、感染防止対策を徹底し、一人一人が個別にレコーディングを行ったという。
フルバージョンのCD発売は未定。
コンサートも待ち遠しい。一日も早く感染が収束し、この曲を生で聞ける機会が訪れることを切に願う。
◆牧 元一(まき・もとかず)1963年、東京生まれ。編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。