「半沢直樹」後半のクセ者――「国交相」江口のりこ「嫌な女を演じようと思ってやってるわけでは…」
2020年08月27日 06:30
芸能
演じる国交相は、経営破綻目前の帝国航空の再建を巡り、半沢と激しい攻防戦を繰り広げている。国家権力で半沢を押さえつけ、余裕たっぷりにほほ笑む。したたかな女っぷりは、視聴者に「憎たらしい」と好評だ。
「嫌な女を演じようと思ってやってるわけではないんです。無意識ですね」。役作りはほとんどしない。「現場に行ったら、台本を読んで思い描いていたことと違うことも提示されるじゃないですか。役を作りすぎると、その時にセリフが飛んじゃうんですよ。臨機応変に動ける方が楽しい」。監督の指示、現場の空気、相手の演技。生で受け止めたことを芝居に込めている。
19歳で上京し、「劇団東京乾電池」に入団した。「舞台は同じセリフ、同じ作品を毎日やるでしょ。ある種の“しつこさ”みたいなものがあって、私はそれが凄く好き」。好きだから続けてきた。
座長の柄本明(71)とは今作でドラマ初共演。柄本は与党の幹事長役で、国交相の後見人だ。劇団での2人の立ち位置と関係性が似ている。
「共演できるのはうれしい気持ちと、嫌だなという気持ちが同じぐらい。“その芝居でいいのか”ってずっと言われてるような気がするから。私にとっては、誰よりもどの演出家よりも怖い人ですからね」。第7話では幹事長に怒られる場面がある。「あれは芝居じゃないですね。本気で震えてますから。芝居しなくていいなと思いました」とおどけた。
「自分が好きだから芝居をやってる。自分のためです」。19歳から変わらぬスタンスだ。「お客さんを感動させたいとか、口が裂けても言えない。だからテレビで私を偶然見て、“笑っちゃった”って言ってくれるような近所のおばちゃんの意見がうれしいんです」。半沢との戦いを、自分が一番楽しんでいる。
◆江口 のりこ(えぐち・のりこ)1980年(昭55)4月28日生まれ、兵庫県出身の40歳。99年に劇団東京乾電池の研究生となり、2000年に入団。02年に映画「桃源郷の人々」で銀幕デビュー。06年のドラマ「時効警察」で演じた無表情の警察官役で注目を集めた。特技はピアノ、中距離走。1メートル70、血液型O。